元都立高教員3人の再雇用拒否認める
東京地裁判決「職務命令違反者、不利な評価はやむ得ない」
式典で君が代を起立して歌わなかったことを理由に定年後の再雇用を拒否したのは違法として、東京都立高校などの元教員3人が都に計約1760万円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は18日、請求を棄却した。清水響(ひびく)裁判長は「自己の考え方を優先させて職務命令に違反した者が不利に評価されることはやむを得ない」と判断した。
同様の訴訟で別の裁判長が担当した昨年5月の東京地裁判決は、都教委の裁量権逸脱を認めて都に賠償を命じ、2審も支持しており(都が上告中)、今回は判断が分かれた。
清水裁判長は「職務の公共性を考えると原告は職務命令に従わなくてはいけない」と指摘した。原告の男性(65)は判決後、「不起立だけを理由に再雇用を拒まれたのは納得がいかない」と話した。3人は控訴する方針。
判決によると、元教員3人は君が代の起立斉唱を義務付ける都教委通達(2003年10月)に基づく職務命令に従わず、04〜11年に懲戒処分を受け、10年度の再雇用選考で不合格になった。【伊藤直孝】