『日本死ねは生ポ問題に近くね?』
待機児童の問題は結局、いろんな人たちの既得権益に対する問題提起だってことがわかってきた。
公立を中心とした認可保育園とか、保育の業界の人たちだけじゃない。公費が投入されて「安く使える 」認可保育園を利用する高所得者の人たち、正社員の人たちもそうだよ。
年収1000万円以上とか高所得者世帯が「安いから」って公立の認可保育園を使っているのって、それはそれでルールとしてはアリ。でも、数年前の「俺は稼いでいたけどバレないと思って親は生活保護受けさせてました」って涙流して謝っていた芸能人と構図は一緒じゃん。
認可保育園が「安く」しているのって、経済的に厳しい人たちのためにあるはずなのに、それにみんなが寄ってたかって「タダ乗り」しているってことじゃん。正社員の人もそうだよ。「あら、認可保育園には入れなくて非正社員は可哀想ね」って言ってる場合じゃないじゃん。
いや、自分は仕事を辞められないし、人を庇う余裕なんてないってのもわかるけど、社会全体を見たらそうじゃない。
結局、子供は社会全体で育てよう、育てやすい環境をみんなで作ろう、その選択肢として保育園がもっと使いやすくなるといいよね、ってみんなが知恵を絞って工夫して、特にみんなで汗を書くような話にならないと解決しないじゃん、これ。
鈴木亘学習院大学教授の説明はわかりやすくて腑に落ちた。
現在の業界全体の流れも良く見えてきたし、政治の限界も見えてきた。
来年度の予算であーしてこーして、って話があるかもしれないけど、その前に保育園を使う私たちが考え方を改めないといつまでたっても変わらない気がしてきた。
待機児童の問題というよりは、世の中の「今ある仕組みのタダ乗り」ってそのままで本当にいいの、って問いかけてる話な気がする。
こういうの他にもまだまだありそう。
【20160415日経 経済教室 待機児童問題の視点②】
・匿名ブログ契機に待機児童問題が焦点に。野党5党は保育士給与を月額5万円引き上げる法案を衆院提出、政府も小規模保育や一時保育の受け皿拡大する緊急対策を公表。野党案は補助金バラマキだ。引き上げ対象が都心部だけでなく、問題になっていない地方部や、調理師や事務員、幼稚園教諭とかに広げすぎ。
■野党案の是正点
・保育士給与は「全産業平均より11万円低い月額22万円」とされるがこれは私立保育園のみの計算。認可保育園の半分を占める公立は計算外。公立保育士は地方公務員だから全産業平均をはるかに超える。公立私立、正規・非正規などの分配の歪みを焦点とすべき。
・本当に補助をするなら対象は都市部無認可含む私立保育園の保育士と、公立保育園の臨時保育士に限るべきだ。そうすれば予算額も現実的。
■与党案の課題
・一時保育の活用も小規模保育の定員拡大も数量はわずか。予算案の提出後で使える額が小さかったことや、保育関係予算拡充が消費税率引き上げの人質になっていて、税率引き上げなくして予算拡充できないから。
■この問題の本質
・待機児童問題の原因は認可保育園の保育料が安すぎること。都市部の認可保育園での児童一人あたり費用は15〜20万円、特に0歳児は40万円掛かると言われる。が、親が支払う保育料は月額平均2〜3万円で差額は公費で負担。認可保育園に皆が殺到するが自治体も莫大な費用が掛かるのでおいそれと増やせない。
・自治体は生活保護など貧困世帯を除くと「両親とも正社員」なら有利となるポイント制を導入していて、非正社員は無認可保育園をえらばざるをえない。しかし公費補助が乏しくサービスの質の割りに保育料が高い。認可保育園には高所得世帯が多い、という事態が発生している。不公平で理不尽がそこにある。
■根本的な解決策
・価格メカニズムが働き、需要に応じて供給が増えるように保育料を自由化し、新規参入も自由化すること。
・この場合保育料は無認可保育園並みに高くなるが、そこは保育園利用者向けに政府がバウチャーという子育て利用権を配れば良い。たとえば月額8万円になっても、5万円分のバウチャーを配れば実質負担は現状維持。低所得者世帯には手厚くすればよい。筆者の試算では認可保育園の公費投入廃止で十分賄える。
・親たちがバウチャーを使って保育園を「選ぶ」ようになれば無認可保育園は必死にサービス水準を高め、認可保育園は高コスト体質を必死に改めるはずだ。公平で公立的になる。
■ところが既得権益 が、、、
・この根本的な改革案は、業界団体が猛反対する。既得権益が奪われるから。以下に消費税率を上げなくても実行できる現実案を提示する。
❶保育士資格者割合の緩和
・認可保育園は全員が合格率1〜2割の国家試験合格などで保育士資格を有する必要がある。この規制を緩和し、すでに小規模保育(b型)で進めているように、資格者割合を5割程度とかにすることで受入定員を増やしやすくする。
❷育休給付金の緩和
・0歳児保育の費用と手間は極端に大きい。親が0歳児を過程で育てるようにするだけで状況は大きく改善する。育休給付基準を緩和して正社員・非正社員が分け隔てなく使えるようにすること。
・認可保育園の割り当て枠が多い0歳児のうちから無理に入園させる傾向があるが、たとえそうしても1歳児になれば新しく割り当ての審査をし直す仕組みに改める。0歳児を過程で育てた方がむしろポイントが高くなるようにしたらよい。
❸無認可保育に対するバウチャー
・高コストの認可保育園が増やせないことを考えると、一定の質が確保された無認可保育園を増やすのが現実的。こうした無認可の利用者への助成をすること。
❹高所得者の保育料引き上げ
・国の基準で年収1130万円で以上の世帯には月額約10万円の保育料を課すことになっているが、 自治体が独自に大幅軽減しているのが実態。高所得者の保育料が高くなれば、認可保育園ではなくカリキュラムも充実した高級保育園に移り、待機児童が減る可能性が出てくる。