9世紀の平安京地震跡発見 倒壊した塀、液状化痕跡も
京都市下京区七本松通花屋町下ルの発掘調査で、平安時代の大地震の影響で倒壊したとみられる平安京の築地塀の瓦が17日までに大量に見つかった。激しい揺れで液状化した地中の跡もあり、京都の地震の歴史を考える上で貴重な史料となりそうだ。
調査した市埋蔵文化財研究所によると、調査地は平安京の中心を貫く朱雀大路に近く、平安宮の皇嘉門(こうかもん)に通じる重要な通り「皇嘉門大路」にあたる。
現場では皇嘉門大路東側の築地塀跡沿いに大量の瓦が南北約20メートルにわたって見つかり、瓦付きの築地塀だったことが分かった。築地塀は高さ約4メートルある立派な塀だったとされ、土を盛るために塀の内側に掘った大きな溝も確認された。
記録では、京都は平安時代の9~11世紀に多くの大規模な地震に見舞われている。今回の遺構は9世紀後半に起きた地震の影響とみられ、被災後は右京の衰退もあり、そのまま埋められて耕地となったようだ。
調査地の地中からは液状化した痕跡も見つかり、京都の震災のメカニズムを考える上で地震の専門家も注目している。
西山良平京都大教授(日本古代・中世史)は「朱雀大路に近い場所で重要施設が多かった坊城の西端の築地塀跡と考えられる。平安京の重要部分の塀跡であり、地震の研究と合わせて二つの意味で興味深い遺構だ」と話している。
【 2016年04月18日 09時40分 】