「クール・ジャパン」を成功モデルとするために重要なのは、"旧来型日本社会システム"からの脱皮だ!

2013年06月01日(土) 堀 潤
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 小田切氏によると、日本のクールジャパン戦略の柱は次の三つ。

 一つ目は海外に展開したい企業とプロモーションに長けた企業とのマッチング。二つ目は、公募で募ったビジネスやプロジェクトの早期支援。三つ目が、ファンドの設立による資金支援の拡充だ。

 マッチングは既に具体的な案件が進んでいる。コンテンツの輸出にあわせ、現地での消費材の販売をセットにした戦略を基本フォーマットにする。例えばテレビ番組の「料理の鉄人」。番組コンテンツ自身の海外輸出にあわせて、国内の食材・食器メーカーと共に現地進出することで市場の拡大をはかるという。

 他にもiPhoneケースに日本の漆を使ったプロダクトの開発、初音ミクの海外現地版の拡大など、早期支援や将来的なファンドを活用した資金支援などを拡充していく計画だ。国内市場が衰退していく中で、特に、新興国市場をターゲットに進めていくと話す。

 一方で、小田切氏は彼らが抱える課題についても率直に語る。

 「現在のクールジャパン戦略の批判点。それは、点が面になっていないこと。単なるイベントにおわってしまうといった指摘です。

 実際の企業の戦略面におけるボトルネックとしては、収益モデルの不透明性、不動産担保がない中での資金調達、海外進出の足がかりとなる拠点を見つけるのが難しいこと、言語の問題、華僑ネットワークのような現地の情報・ノウハウ・人材の不足、などです

 対応策として、小田切氏が今後の構想をこう明かす。

 「対応策としては、拠点となるようなメディア空間を作る。物理的、精神的空間を作っていきたいと考えています。出資だけが大切という訳ではありません。現地企業へのサポートなど、お金の使い方は様々だと考えています。

 海外にクールジャパン発信拠点になる、『ジャパンイニシアチブモール』や『ジャパンストリート』の設立、日本食を提供する食品街の建設を想定しています。その際、このアクションを点にとどまらせることなく、面となるように尽力せねばなりません。

 さらに、機構のガバナンスとしては、どういった企業に支援を行うかの基準の形成が急務。ビジネスの波及効果、収益が上がる見込みがあるか、国のブランド形成に役立つかなどがあげられます。

 クールジャパン推進機構法案が6月に通れば、秋には、こういったアクションが具体的にスタートできる地盤が整うので、みんなでクールジャパンをもり立てていけたらと思っています

「クールジャパンの方向性は間違っている」

 小田切氏の説明を隣で腕組をして聞いていた國光宏尚氏。かつて、中国の大学に留学後、バックパッカーとして世界各地を訪ね、ロサンゼルスを拠点に映画のプロデューサーとして活躍、ドラマやアニメの制作で実績を積んだ後、ゲームの制作会社を設立するという異色の経歴を歩んできた。

 國光氏が代表を務めるgumiは、スマートフォン向けのソーシャルゲームで急成長し、現在東南アジア各地への進出を加速させている。

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