M3.5以上「中越」超す 南西側に活動拡大
気象庁は17日、熊本県熊本地方で発生した一連の地震活動について、マグニチュード(M)3.5以上の地震回数が、観測体制が整った1995年以降最多だった新潟県中越地震(2004年)を超え、内陸や沿岸で発生した地震では過去最多となったと発表した。また16日に起きたM7.3の地震以降、日奈久断層帯沿いの地震活動が南西側に拡大しているとして、同庁は今後の地震活動の推移に注意するよう呼び掛けた。
気象庁によると、14日のM6.5の地震以降、M3.5以上の地震は17日午後1時半までに165回を記録した。特に、16日のM7.3の地震以降急激に増加。中越地震では、発生後3日間で150回程度、08年の岩手・宮城内陸地震では同120回程度だった。気象庁は「地震回数は減ってきているように見えるが、現在も1時間に10回弱程度起きており、まだ活発だ」との見解を示した。
新たに活動の活発化を指摘した領域では、16日午前9時16分にM4.5の地震が発生し、熊本県八代市で最大震度4を観測。同日昼過ぎから日奈久断層帯に沿う形で地震が多発しており、気象庁は「強い揺れに注意してほしい」としている。
また気象庁は、発表資料で使ってきた「余震回数」との表現を「地震回数」と改めた。同庁担当者は「今回の一連の地震活動は特殊で、どこまで余震ととらえるかは今後の推移を見なければ判断が難しい」と説明する。
一方、政府の地震調査委員会は17日の臨時会で、M7.3の地震について「布田川断層帯のうち、布田川区間の活動で引き起こされた」との見解をまとめた。
布田川断層帯は、阿蘇外輪山西側から宇土半島に北東−南西方向に延びる全長64キロメートル以上の活断層帯。北東側の布田川区間は全長19キロと想定していた。ところが今回の調査結果から、阿蘇外輪からさらに阿蘇山カルデラの下まで延び、全長約30キロだったと判断。委員長の平田直・東京大地震研究所教授は「この区間が実際は長く、想定していたM7より大きなM7.3の地震が起きた」と述べた。【渡辺諒、円谷美晶、千葉紀和】