2016年4月18日05時00分
衆院北海道5区と京都3区の両補選(24日投開票)について、朝日新聞社は16、17日、電話調査を実施し、取材で得た情報と合わせて情勢を探った。北海道5区は無所属新顔の池田真紀氏と自民新顔の和田義明氏が激しく競り合っている。京都3区は民進前職の泉健太氏が優勢だ。
いずれも有権者の4割前後は投票態度を明らかにしておらず、情勢が変わる可能性もある。
投票態度を明らかにした人を分析すると、北海道5区は「野党統一候補」の池田氏が民進、共産両支持層の8割以上を固め、無党派層からも6割の支持を得ている。
故・町村信孝前衆院議長の娘婿で、地域政党「新党大地」の支援を受ける和田氏は、自民、公明の両支持層をまとめているが、無党派層の支持では池田氏に後れをとっている。
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京都3区では、泉氏は民進支持層を固め、自主投票を決めた共産支持層の9割近くの支持を集めているほか、自民、公明両支持層にも浸透。無党派層でも9割近い支持を得ている。
一方、おおさか維新新顔の森夏枝氏、無所属新顔の田淵正文氏、日本のこころ新顔の小野由紀子氏、無所属新顔の郡昭浩氏、幸福実現党員で新顔の大八木光子氏は厳しい。森氏はおおさか維新支持層をまとめたものの、自民支持層の支持は3割弱にとどまり、無党派層に浸透していない。
同時に実施した世論調査では、2014年の衆院選京都3区で誰に投票したか質問した。前回、辞職した宮崎謙介氏(自民を離党)に投票したと答えた人の6割が、今回は泉氏に投票する意向を示し、最も多かった。
■与党「組織固める」 野党「共闘の威力」
衆院北海道5区補選は、自民公認の和田義明氏(44)と、「野党統一」の無所属の池田真紀氏(43)が接戦を繰り広げている。
同補選は自民の町村信孝・前衆院議員の死去に伴うもので、与党は「議席維持」を目標に掲げる。
接戦となった情勢について、北海道選出の与党議員は、自民議員から「巫女(みこ)のくせに」といった問題発言が相次いだ影響を指摘。「北海道は中小零細企業が多く、消費が落ち込んだ」とも語り、アベノミクスやTPP(環太平洋経済連携協定)の評価も補選に影響しているとみる。自民幹部は選挙後半に向けて「組織を徹底的に固める」と語る。
民進、共産、社民、生活の党と山本太郎となかまたちの野党4党は、池田氏を推薦。民進幹部は、競り合いとなった展開について「よく追い上げた。野党共闘で一本化できたのは大きい」と話す。
別の民進幹部らも「アベノミクスは地方に行き届いていない」「勝利すれば、自民1強から潮目が変わる」などと指摘。衆院北海道5区補選の結果が、夏の参院選にも影響するとみる。共産の小池晃書記局長は「野党共闘の威力が発揮されてきた。相手側は『野合』としか攻撃する材料がない」と語った。
■北海道5区
和田義明(わだよしあき) 44 自新 〈元〉三菱商事社員〈公〉〈こ〉
池田真紀(いけだまき) 43 無新 社会福祉士〈民〉〈共〉〈社〉〈生〉
■京都3区
小野由紀子(おのゆきこ) 37 こ新 〈元〉派遣社員〈改〉
田淵正文(たぶちまさふみ) 57 無新 医師
大八木光子(おおやぎみつこ) 31 諸新 幸福実現党員
森夏枝(もりなつえ) 34 お維新 〈元〉党職員
泉健太(いずみけんた) 41 民前(5)〈元〉内閣府政務官〈社〉
郡昭浩(こおりあきひろ) 55 無新 〈元〉塾アルバイト
※届け出順、〈 〉内政党は推薦、カッコ内数字は当選回数
<調査方法> 16、17の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に調査員が電話をかける「朝日RDD」方式で、衆院北海道5区、京都3区の有権者を対象に調査した。世帯用の電話と判明した番号、有効回答、回答率は、北海道5区が972件、570人、59%、京都3区が831件、517人、62%。
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