熊本地震では、九州新幹線の1編成で全車両が脱線した。フル規格新幹線の脱線は過去3件あるが、全車両脱線は初。各新幹線で対策を強化する中、九州新幹線も新技術の導入を進めていた。なぜ防げなかったのか−。
国土交通省によると、新幹線の主な脱線防止対策は3つある。まず、高架橋の補強。阪神大震災の被害を踏まえたものだが、新しい九州新幹線の高架橋は、すでに十分な耐震強度を持っており必要なかった。
次に、地震の初期微動を検知して列車を止める、早期地震検知システム。沿線などに設置した地震計が大地震を予知し、変電所から列車への送電を自動的に止めて非常停止させる。九州新幹線では今年3月末までに18カ所に地震計を設置。脱線現場も同システムの対象区域だったが、「震源が近すぎて間に合わなかった可能性がある」(国交省)。運転士も非常ブレーキを使ったが、脱線を防げなかった。
copyright (c) 2016 Sankei Digital All rights reserved.