黒部進さんを俳優へと導いた山本嘉次郎監督“鶴の一声”
そして勧められるまま試験会場に行ったら、なんと審査委員長が山本さん。これにはビックリでした。ただ、そうはいってもまさか合格すると思っていないから、試験後も生活は相変わらずで友人宅を転々としていた。
■「俺が親代わりになるから」の一言で開いた役者の道
それから何週間も経ったある日、履歴書に連絡先として書いた友人宅に転がり込んだら、「ハガキが来てるぞ」と渡されたのが合格通知で。正直、慌てました。
というのは、返事する指定日がとっくに過ぎてたから。それですぐ東宝に顔を出したけど、担当者はいい顔をしない。当然だよね。期日もさることながら、親から勘当され、おまけに住所不定なんだから。そしたら、山本さんが助け舟を出してくれたんです。
「じゃあ、このコは俺が親代わりになるから、入れてやってくれ」