2016年4月18日05時00分
大きな揺れの後に息をつく間もなく、次の揺れが来る。離れた場所にいてもテレビの緊急地震速報に胸がかきむしられるのだから、避難されている方の不安はいかばかりだろう。どうかこれ以上の被害が出ることなく、収まってくれれば▼現地から伝わる映像に言葉を失う。崩れ落ちる山肌。ひしゃげる家屋。まるで農地を二つに引き裂こうとするかのような、長い亀裂も生じた。16日未明の「本震」を引き起こした活断層のずれだという▼普段は目に見えない地底の力が、そこだけ姿を現した。過去に地震を起こした形跡があり、将来もその可能性があるのが活断層で、阪神大震災や中越地震の原因でもあった。全国に2千以上あるというから気が遠くなる▼作家の小松左京氏が、活断層の全国分布図を初めて見た時のことを書いている。「これじゃわれわれは、『ひび焼き』の陶器の上に住んでいるようなものじゃないか!」。ひび焼きとは、表面に細かなひびがびっしりと施された焼き物。列島を縦横に走る線形と、陶器そのものの脆(もろ)さが重なり合う▼東日本大震災の後、よく使われるようになった言葉に「レジリエンス」がある。被災後に元の生活をすみやかに取り戻す力のことを言う。しかし、いま被災地から伝わるのは基本的な物資の不足だ▼校庭にパイプ椅子を並べて、パンや水を求めるメッセージを作る人がいる。おにぎりをもらうため長い列に並ぶ人たちがいる。自然の非情さをはねかえす人間の力が、もっと必要だ。
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