広島訪問、各紙が支持…「大統領は敬意表すべきだ」
【ワシントン西田進一郎】オバマ米大統領が5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)への出席に合わせて広島訪問を検討していることを後押しする社説が米主要紙から相次いでいる。被爆地を現職大統領が訪問すれば初めてで、国内には反対、慎重論もある。訪問に踏み切るかを判断するうえで、世論は大きな材料の一つだ。
ワシントン・ポスト紙は16日付で「広島の教訓と遺産」と題する社説を掲載。「オバマ氏は謝罪のためでなく、核兵器が使われることのない平和な今後の70年間に向け努力するため、この都市を訪れるべきだ」と被爆地・広島の訪問を促した。
社説は、被爆者や日本人が核兵器の悲惨さに警鐘を鳴らし続けていることに触れ「オバマ氏は彼らのひたむきさに敬意を表すべきだ」と主張。当時のトルーマン大統領の原爆投下判断の是非などに踏み込むことなく、訪問はできると指摘した。
また、ニューヨーク・タイムズ紙は13日付で、ケリー国務長官の広島訪問を受け「広島から核なき世界へ」との社説を掲載した。「ケリー氏が地ならしをした今、オバマ氏が現職大統領として初めて広島を訪れることを妨げるものは何もない」と指摘。広島を訪問する場合には、2009年にプラハで提案した「核兵器なき世界」に向けた具体的な新提案を行うよう促した。
一方、第二次世界大戦中の1942年にフィリピン・バターン半島で米兵捕虜ら多数が死亡した「バターン死の行進」の生存者や家族で作る団体は、旧日本軍の米兵捕虜に対する追悼がされていないと日本政府に訴えている。団体は13日、「日本で死亡した米兵捕虜らに対する心のこもった追悼をするまでは、広島訪問を控えるように求める」との書簡をオバマ氏に送った。