【ワシントン=共同】米紙ワシントン・ポスト電子版は15日、1945年に広島、長崎に原爆が投下されて以来、核兵器が使われなかったという「偉業」を次の70年も続けるための土台を築くべきだとする社説を掲載し、オバマ米大統領に広島訪問を促した。
ニューヨーク・タイムズ紙もオバマ氏の広島訪問に賛同する社説を掲載したばかり。現職米大統領による初の被爆地訪問に向け、米世論に肯定論が広がっているようだ。
ポスト紙は、オバマ氏は広島で、核の恐ろしさに警鐘を鳴らし続けてきた被爆者や日本の人々に対する敬意を表明するべきだと主張。その際、米国による原爆投下の是非に踏み込む必要はないはずだと指摘した。
核戦力の拡大をもたらした冷戦思考を葬り、オバマ氏が掲げる「核なき世界」を推進するためのメッセージを発信できるとして、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を進めるべきだとの考えも示した。
広島訪問には、米大統領選の共和党指名確保を目指す実業家トランプ氏らの批判が予想されるが、核兵器が使われない時代を継続するには「献身」が必要だとして、オバマ氏に決断を求めた。
一方、退役軍人団体などには反対論も根強い。太平洋戦争中のフィリピンで旧日本軍の捕虜となった元米兵らでつくる団体はオバマ氏に送った13日付の書簡で「日本で死亡した米兵捕虜を追悼するまで広島訪問を控えるよう求める」と訴えた。