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Master Hammerの官能分析
〜第24回多摩独酌会〜

第三回「定番酒を探す」も、前回同様、酒瓶を新聞紙で包み、いわゆる「目隠し状態」にした上で、それぞれの評価をつけていただきました。

出品した酒は50種類と過去最大、参加人数も64人とこれまた過去最大、あまりの多さに従来のような座って呑むということができず、立食形式での利き酒会となりました。

今回は、名前のとおり「定番酒を探す」もの。旨い不味いも人それぞれ、値段の善し悪しも人それぞれ。それでよいのが酒の良さですが、せっかく集まった皆さんのこの結果、他人の評価を覗いてみたいもまた人情。ざっとではありますが、アンケート結果を元にした官能分析の結果をここに発表いたします。

→その前に出品酒の一覧を見る

【分析1】評価ランキング
表1は皆さんにつけていただいた評価得点の平均点とその順位です。
今回種類が多く、全ての酒を利けなかった人もいますので、そういう場合は計算から抜いております。

堂々の一位は「十四代」。後に述べる「分散値(ばらつき)」も低く、ほとんどの人が高評価をつけた、飛びぬけて評価の高い酒でした。2位、3位は僅差ながら「能古見」と「九平次」。平均点は0.03ポイントしか差のないほとんど同着としても良いような2つですが、分散を見ると「能古見」のほうが安定した評価を得ている、逆にいえば「九平次」の方が好き嫌いが分かれる酒であるという分析結果となりました。

今回注目の酒「飛露喜」は第12位。50本の酒で12番目ですから、中々の好順位であるのは見逃せません。今後に期待したいものです。今回参加なされた廣木さんは、どう評価なされたのでしょうね。

表1:評価得点順位(平均点) 
順位 酒名 平均点
1 十四代 特別純米しぼり雄町 7.04
2 能古見 純米吟醸荒走り 6.72
3 醸し人九平次 純米 無濾過 6.69
4 夜明け前 純米吟醸無濾過生原酒 6.61
5 佐久の花 純米吟醸 無濾過 6.40
6 ささ一 純米吟醸無濾過 6.39
7 舞姫 翠露 純米吟醸袋しぼり生酒 6.35
8 玉川 純米吟醸 6.26
9 太平海 本醸造 無加圧しぼり 6.26
10 多満自慢 たまの慶 ささにごり純米吟醸 6.25
11 義侠 50%純米 原酒 6.23
12 飛露喜 特別純米 無濾過生原酒 6.23

【分析2】個性の強い酒 vs 誰にでも喜ばれる酒
「分散」とは評価のばらつきを示す指標です。これが高いほど、好き嫌いのはっきり分かれる酒、ということになります。個性の強さ、と考えれば近いかもしれません。

そうした意味で好き嫌いがはっきり分かれたのが「開春」と「王禄」。島根の酒が並んでしまったのは偶然でしょうか。これらは10をつける人もいれば2をつける人も結構いる、という非常に好みの分かれる結果となりました。

逆に「義侠」や「富美川」などはほとんどの人が同じ点をつけた安定した評価をもつ酒。特に義侠などは評価(11位)も悪くないので、人に勧めるときに最適な、誰にでも喜ばれるお酒といえるでしょう。「定番酒」らしい定番酒、というのはこういうものかもしれないですね。

表2:主な酒の評価分散 全部見る
順位 酒名 分散
1 開春 純米無濾過超辛口 2.005
2 王禄 純米直汲超辛口 2.005
3 苗加屋 純米吟醸無濾過生原酒 2.003
4 春鹿 超辛口純米 1.951
5 うきたむ 出羽燦々純米吟醸 1.884
<<<<中略>>>>
45 十四代 特別純米しぼり雄町 1.483
46 功の鷹 純米 しぼりたて 1.481
47 藤娘 友 雄町純米吟醸おりがらみ 1.469
48 歓の泉 袋吊り純米朝日 生 1.452
49 富美川 特別純米無濾過 1.391
50 義侠 50%純米 原酒 1.308

【分析3】新たな味の発見を---好みの傾向によるグループ分け
因子分析という、ちょっとした統計手法で出品酒をグループ分けしてみました。皆さんのつけた評価でのグループ分けですので、同じグループに属していると、評価の傾向が似ているということがいえます。

つまり、グループ1の「佐久の花」を旨いと感じる人は「ささ一」も旨いと感じることが多い、ということです(味が似ている、ということではありません)。

今回の独酌会で自分の「定番酒」が発見できたら、同じグループの別の酒ももう一度試してみてください。多少味は違っても、お気に入りの酒に出会えるかもしれません。

もっとも、今回いかに参加者が多いとはいえ、この分析を試みるにはちょっと人数が足りないのは事実(本当は200人ぐらい欲しいところ)。まあ、あくまでも参考程度、お遊び程度にご覧ください。

さて、これらのグループははそれぞれ何らかの特徴で分類できるはずなのですが、これらがどういう特徴をもっているかについては、アンケート結果だけでは出てこないので、今回は酒の専門家であるところの喜八さんにグループの特徴(グループ名)を割り出してもらいました。

なお、統計で出た分類結果は、喜八さんの長年の経験で培ったグループ分けと大体同じ、ということでしたので、分析対象の人数が足りないとはいえ、参加者の皆さんのレベルが高いせいか、なかなか意義のある結果になったといえるかもしれません。

もう一つ、この分析の特徴として、評価基準の因子の重みが算出できる、ということがあります。要するに酒のどういった特徴が評価に影響するか、ということが比較できるわけです。今回の分析では、上の(グループ2よりも1の)グループの方が、評価に及ぼす影響が大きい、ということになります。

こうした視点から見ると、評価が高くなるためには
 (1)バランス
 (2)味そのもの
 (3)軽快さ
が重要である、という結果になりますが…。さて、みなさんはどうお考えですか?

表3:因子分析による出品酒のグルーピング
グループ1:
旨味があり、バランスの取れた酒
佐久の花 純米吟醸 無濾過
ささ一 純米吟醸無濾過
天寶一 純米荒走り
美田鶴 純米大吟山田錦
飛露喜 特別純米 無濾過生原酒
福乃友 ゆうき 特別純米無濾過
妙の華 はなぶさ 純米無濾過
くどき上手 純米大吟出羽燦々
藤娘 友 雄町純米吟醸おりがらみ
王禄 純米直汲超辛口
浪の音 純米吟醸無濾過浪の音
グループ2:
香りよりも味を楽しむ(原酒味)
千代 篠峯 純米吟醸無濾過
墨廼江 吟醸中汲み生原酒
黒龍  吟18号 吟醸しぼりたて生酒
美丈夫 いながら 純米吟醸おりがらみ
東一 吟醸
菊姫 五百万石純米無濾過生原酒
苗加屋 純米吟醸無濾過生原酒
開春 純米無濾過超辛口
グループ3:
辛口指向で、軽快さを楽しむ
功の鷹 純米 しぼりたて
奥播磨 喜八 純米吟醸無濾過中汲
玉川 純米吟醸
春鹿 超辛口純米
グループ4:
香りを活かしてバランスの良い酒
しらぎく 吟醸
常山 無濾過純吟
明鏡止水 吟醸 吟織おりがらみ
十四代 特別純米しぼり雄町
富美川 特別純米無濾過
グループ5:
口当たり重視の酒
天の戸 美稲 純米無濾過直汲
歓の泉 袋吊り純米朝日 生
喜楽長 純米吟醸超辛口
三井の寿 純米吟醸木槽しぼり生原酒
福乃宮 夢醸 純米酒
グループ6:
味があって切れの良い酒
太平海 本醸造 無加圧しぼり
夜明け前 純米吟醸無濾過生原酒
南 純米無濾過中取り
グループ7:
米の旨味のある酒
義侠 50%純米 原酒
初亀 富士山 吟醸生原酒
うきたむ 出羽燦々純米吟醸
綿屋 純米生原酒
獺祭 純米吟醸遠心分離仕込み
グループ8:
酸味を楽しめる酒
醸し人九平次 純米 無濾過
天覧山 純吟無濾過生原酒
能古見 純米吟醸荒走り
吉祥山 純吟 中取り生原酒
グループ9:
香りと軽快さを楽しむ
舞姫 翠露 純米吟醸袋しぼり生酒
天明 純米吟醸 無濾過原酒
グループ10:
芳醇辛口タイプ
多満自慢 たまの慶 ささにごり純米吟醸
奥播磨 喜八 純米吟醸無濾過芳醇超辛口
雑賀 純 無濾過
* 平均、分散とも適当な数値で丸めて表記おりますが、順位は少数点16桁以上で判断しております。同着はありませんでした。
* 因子分析は、主因子法,Varimax回転解により負荷量を算出し、カイザー基準(固有値1.00以上)を満たす10因子解を採用しました。
* 因子分析については特に負荷量、固有値など表記しておりませんが、分析の詳細をご覧になりたい方は株式会社アイエヌジー大浜までご連絡ください。

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