ザッケローニが本田を1トップ下で使い続ける理由はそこにある。本田に代わる選手はいない。


 しかし、大迫勇也は例外だ。1トップ下で、本田的なプレイができる。

 大迫は、先の東アジアカップで、第2戦の豪州戦に先発した。

 ポジションは豊田陽平の1トップ下。鹿島で長年、並列に構える2トップの片割れとしてプレイしてきた大迫にとって、これは酷なテストだった。

 だが、結果は上々。1トップ下という新境地を開拓することに成功した。

 相手ディフェンダーを背にしたプレイに、本田を彷彿とさせる安定感があった。本職はフォワードなので、構える位置も本田よりやや高め。4-2-3-1というより4−4−2。4−4−1−1に近い布陣だった。

 いずれにせよそのサッカーには、従来の4−2−3−1にはない新鮮さがあった。大迫を1トップ下に置く作戦は、少なくともオプションの一つとして、十分活用できそうな気がする。

 それは本田を、別のポジションで起用することが可能になったことを意味する。守備的MFで使うという手も考えられる。香川のポジションに置くことも考えられる。

 フォワード系の選手を真ん中に2人置く4−4−2。4−4−1−1に近い4−2−3−1なら、さすがに香川も真ん中に入りにくくなる。少しは遠慮するだろう。バランスというモノを考えるだろう。

 いずれにせよ、日本がなにより模索すべきは「攻撃陣」の円滑な攻撃とバランスだ。最終ラインに負担を掛けない、よりよいボールの奪われ方だ。そのための選択肢は、多ければ多い方がいい。

 自分のポジショニングがもたらす弊害について、香川は己を冷静に振り返るべきだろう。