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「慰安婦」履行へ日韓抑制 少女像移転、解決見えず

毎日新聞
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 米ワシントンで3月31日(日本時間1日)に行われた日韓首脳会談では、昨年末の慰安婦問題に関する合意について、両政府で着実に履行することを確認した。韓国で総選挙が行われる今月13日以降に外務省局長協議を加速する方針だが、折り合っていない課題は依然残っている。【小田中大、ソウル大貫智子】
 日韓合意後初となった首脳会談で、安倍晋三首相は韓国の朴槿恵(パククネ)大統領に対し「合意を改めて歓迎する。大統領とともに日韓新時代として関係をさらに前に進めたい」と語りかけた。朴氏も「合意を誠実に履行したい」と応じ、関係改善をアピールした。
 昨年12月の日韓合意では、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的」に解決することを確認。韓国政府が元慰安婦を支援する財団を設立し、日本政府の予算で10億円程度を拠出するほか、韓国政府は在韓国日本大使館前の少女像の移転に「努力する」ことが決まった。
 韓国側は合意後、抑制的な態度を続けている。日本外務省幹部は「トップが合意を守る意思ははっきりしている」と評価する。韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外相は3月の国連人権理事会で演説したが、慰安婦問題については触れず、合意事項を順守する姿勢を見せた。
 元慰安婦を支援する財団については、韓国外務省が設立準備を進めており、総選挙後に発足させたい考えだ。日本外務省幹部は「5〜6月に大きな話題になり得ると思う」と述べた。
 一方、少女像の移転問題はメドが立たない。日本外務省幹部は「こっちがああだこうだというと向こうも苦しむ」と、当面は韓国側の対応を見守る考えだ。しかし、自民党内では「日本が犯罪国家とされる象徴的な像だ」(稲田朋美政調会長)などと撤去や移転を強硬に求める声がくすぶる。
 韓国政府は北朝鮮問題で日本との連携強化を進める。青瓦台(大統領府)は1日、日韓首脳会談に関し「さまざまな分野で協力を強化していく機会となると期待される」と表明した。
 しかし、反発は根強い。韓国政府は元慰安婦に説明を続けているが、受け入れを表明した元慰安婦はほとんどいない。3月末には、元慰安婦29人らが合意は違憲と憲法裁判所に提訴した。ただ、「違憲判決が出ることは考えられない」(韓国外務省幹部)と大きな障害になるとは見ていない。
 気をもむのはやはり、少女像移転問題だ。韓国政府に近い日韓関係専門家は「大統領は任期中に移転を行おうとしている。ただ、日本側から要求が出て韓国で反発が強まると実現が難しくなる。静かに見守っていてほしい」と話す。
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