トヨタ自動車は17日午後、部品供給が地震の影響を受けたことから、4月23日まで段階的に田原工場(愛知県田原市)や元町工場(同豊田市)を含む全国26ラインの稼働を停止すると発表した。稼働再開の時期については部品の供給状況を見ながら判断するとしている。熊本地震による被害が物流に影響を及ぼし始めた。

  トヨタグループの部品メーカー、アイシン精機は17日、エンジンやボディーの部品などを製造する子会社2社が、熊本県内の製造拠点の操業を14日の地震以降停止しているとウェブサイト上で発表した。余震の影響で建屋内への立ち入り調査は難航しているという。

  ホンダ広報の中村勉氏は、二輪車や発電機などを製造している熊本県大津町の熊本製作所を18日まで操業停止する予定で、現時点で19日以降については決まっていないと述べた。ソニー広報担当の今田真実氏は、熊本県菊陽町の画像センサーを生産する工場で17日も引き続き生産ラインが停止していることを明らかにし、再開時期は未定だと話した。生産ラインを一部停止していた長崎県諫早市や大分県大分市にある画像センサー工場では、同日操業を再開した。

  半導体メーカーのルネサスエレクトロニクスは17日、地震発生から操業を停止している熊本市内にある工場の設備部品に16日の本震による被害拡大が見つかったと発表。生産再開の見込みについては、設備全体の確認ができ次第、決定して速やかに公表するとしている。

  14日からの一連の熊本県熊本地方を震源とする地震による死者の数は計41人まで増えた。同県と大分県では計19万6325人が避難し、計1061人が負傷した。両県が17日朝時点の被害状況などを発表した。気象庁によると、14日から17日午後3時までに、震度1以上を観測した地震は444回発生している。

被災者生活支援チームを設置

  安倍晋三首相は、17日午前に開いた地震非常災害対策本部会議で「被災者生活支援チーム」を設置し、市町村と連携を強化して支援を進めていく方針を示した。また、米軍から航空機による輸送支援が可能との連絡を受けたことから、具体的な調整を進めて実施に移すように指示した。同会議の内容は首相官邸が公表した。共同通信によれば、政府は午後5時に同支援チームの初会合を開く。安倍首相は自衛隊による救助態勢を2万5000人規模に拡充すると話した。発言の様子はNHKが報じた。

  地震の影響でターミナルビルが封鎖されている熊本空港は、再開時期を未定としている。空港ターミナルビルの再開めどが立たないことから、ANA日本航空は17日、18日の熊本空港発着全便を欠航すると文書で発表した。

  九州電力は17日午後4時時点で、熊本県内で6万2700戸が停電しているとウェブサイト上で発表した。経済産業省が電子メールで配信した地震被害情報によると、約60カ所の避難所で電源車を必要としている状況だという。中国電力や四国電力がすでに電源車を現地に派遣しており、九州電の分も含め現在、計12台の電源車が役場や避難所に力を供給しているという。さらに、関西電力が7台、北陸電力が3台、東北電力が5台、東京電力ホールディングスが3台電源車を派遣する予定。

規制委が臨時会議

 原子力規制委員会は熊本地震に関連する原子力施設などの状況について協議するため臨時会議を18日午前に開催すると発表した。会議終了後に田中俊一委員長が会見する。

  経産省によると、熊本県内の計797のガソリンスタンドのうち、91カ所が営業できない状況だという。さらにイオンが16店舗、西友が3店舗など、同県内で主要各社のスーパーマーケット計40店舗が営業を休止している。ローソンは熊本県内の全141店舗のうち、17日は日中で約7割、夜間は約5割の店舗で営業するとFAXで発表した。また、店舗の倒壊や破損などの恐れがある熊本市や上益城郡などの6店舗については、改修が必要なため完全に休業しているという。

  西部ガスは、同日午前9時時点で約10万5000戸に対するガスの供給が停止しているとウェブサイト上で発表した。