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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】サイン一つ、鳥谷を“良薬”で復活させた!金本“監督力”は相当なもの

【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】

サイン一つ、鳥谷を“良薬”で復活させた!金本“監督力”は相当なもの

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「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記
6回、安打を放つ阪神・鳥谷敬(投手はDeNA・今永昇太)=14日、甲子園球場(安部光翁撮影)

6回、安打を放つ阪神・鳥谷敬(投手はDeNA・今永昇太)=14日、甲子園球場(安部光翁撮影)【拡大】

 「さすがに金本監督だと思いましたね。野球を知っている、というか、鳥谷の状況をよく見ているというか。あのエンドランのサインで鳥谷の打撃は変わりましたね。あそこから、以降の打撃では凡退しても、内容はいいですからね。ひとつのサインで鳥谷は復調したと思いますね」とはチーム関係者の話です。

 つまり、金本監督の出したエンドランのサインが、鳥谷の打席での迷いを消した。そして、走者が走る状況ですから、バットをボールに当てるコンパクトなスイングの意識が戻った…というわけです。スイングなど打席での迷いが吹っ切れたならば、鳥谷は本来の姿を取り戻すでしょう。

 元々、力のある選手です。打率1割台の選手でないのは明らかです。しかし、単なるスランプから、さらに深みにはまる前に状態を立て直したならば、長いシーズンでは大きな意味ある一打席だと言えるでしょう。選手の状況を見極めて、“良薬”的にヒットエンドランのサインを出したのであれば、金本監督の野球力、監督力は相当なものですね。

 よく野球界では、「監督で勝てる試合は1シーズンで10試合もない」といいますね。長くプロ野球を取材した身からすれば「とんでもない話」と思います。球団の戦力編成力に大きな差がない場合ですが、監督のセンス、観察眼、判断力によってチームは優勝もあれば、最下位もあるでしょう。それほどの影響力が監督にはあるのです。

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  • 試合前、鳥谷敬にアドバイスを送る阪神・金本知憲監督=甲子園球場(山田喜貴撮影)