蹴球探訪
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(3月16日)
【ゴルフ】熊本県出身の重永&永野、賞金を義援金に 初ツアーVに意欲2016年4月17日 紙面から
◇東建ホームメイトカップ<第3日>▽16日▽三重県桑名市、東建多度CC名古屋(7081ヤード、パー71)▽晴れ、気温18・8度、風速2・6メートル▽賞金総額1億3000万円、優勝2600万円▽61選手(うちアマ1人)▽観客7853人▽中日スポーツ後援 震災に見舞われた熊本県出身の2選手が、ともに2位タイで最終日に臨むことになった。熊本市出身の重永亜斗夢(あとむ、27)=ホームテック=が4つ、益城町出身の永野竜太郎(27)が2つスコアを伸ばし、ともに通算7アンダー。ツアー未勝利のふたりが傷ついた故郷へ朗報を届けようと、昨季の賞金王だった首位の金庚泰(キム・キョンテ、29)=韓国=を4打差で追う。近藤共弘(38)=ネスレ日本=は2位タイにつけた。
故郷の惨状に心を痛める重永と永野が、帽子に喪章を着けながらのプレーで優勝争いに踏みとどまった。 重永は、見えない力に後押しされたかのようなプレーを続けた。5番パー4では第2打をグリーン手前に外しながら、約10ヤードをチップインバーディー。11番パー4は、約10メートルのバーディーパットが急角度で曲がって入った。 「きょうはついていた。ショットの調子は本当に悪い。11番(のパッティング)は直角に曲がるように勢いがついて入った。実力ではない。きっと何かあるんでしょうね」 被害が拡大する一方の熊本地震。16日未明には、阿蘇赤水GCの研修生時代に何度も通った阿蘇大橋が崩落した。朝6時に永野からの電話で「テレビを見てみろ」とたたき起こされると、画面には無残な光景が。「あの橋がなくなるなんて、想像もできなかった。衝撃を受けた」と絶句した。 菊陽町に住む妻と2人の子どものことも気にかかる。昨夜は午前1時半ごろに妻から悲痛な電話がかかった。「やばいよ。今すごく揺れている。津波注意報も出たから外に出ている」 いつもは気丈な妻の弱気な言葉に「帰ることができるならばすぐに帰りたい」と居たたまれない気持ちになった。 故郷へ飛んで帰りたい気持ちを抑えてのラウンドは永野も同じだった。 昨夜の地震で熊本市内の自宅マンションは玄関が開かなくなり、近くの住民にバールでこじ開けてもらった。停電のため機械式駐車場が動かず、母と祖母は近くの公園で一夜を明かした。 「4、5年前に倒れたおばあちゃんは急いで歩けないし、母しかいないので不安。ゴルフ場へ行くときも不安を感じるし、ラウンド中も集中しようと思っても頭の片隅では気になる」 小学校時代から互いの存在を知るふたりは、今後の活躍で故郷への恩返しを考えている。「熊本出身のふたりで、せめて義援金を贈ることができるくらいの賞金を稼ぎたい」と重永。ツアー初優勝への意欲は、これまでとは比較にならないほど高い。 (堤誠人) PR情報
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