英語を習得しよう。外国人との接点があるビジネスマンに限った話ではない。英語が話せるだけで、人生はぐっと自分でコントロールしやすくなる。それは、あたかもゲームの難易度が、HARDからEASYモードに変わるようなものだ。
英語を習得しよう。たとえ、外国人と英語で話す機会が一切なくとも。母国語のように英語の読み書きができるだけでも、数え切れない程のメリットがある。あなたが家に引きこもって、誰にも会わずPCだけで仕事をしたいと考えている場合でさえ、英語はあなたの最大の武器になる。日本語でブログを運営し、アフィリエイト広告で少ないパイを取り合うより、よっぽど簡単に大金を手にすることができる。
それは、あたかも殆どのジャパニーズ・ブロガーが小さなナイフしか持っていない中、ガトリングガンを持って戦うようなものだ。そのガトリングガンを持ってすれば、外国人たちがひしめく広大なフィールドに堂々と入っていける。もちろん敵はべらぼうに多い。日本のインターネットの世界に比べて、10倍はいる。しかし、そのフィールドに立ち、周りを見渡してみると、他に日本人がいないことに気づくだろう。巨人がうようよとひしめいているが、日本に住むあなたの知見を持っている巨人はごく稀だ。そしてその知見を欲している人が世界にはたくさんいる。
ブルーオーシャンのビジネスアイデアが山ほど
英語をネイティブのように流暢に話す・読む・書くことができれば、日本がビジネスチャンスだらけのフロンティアだと気づくだろう。日本には英語が話せる人が極めて少ないために、日本のコンテンツを海外に向けて作ったり、逆に海外のコンテンツを日本に向けて作ることには物凄く価値があるのだ。たとえ自分でハイクオリティーなコンテンツを作るだけの技量がなくとも、翻訳ができるだけで、多くのビジネスが始められる。
海外向けに日本の旅行情報を発信
たとえば、海外でも日本でもバイラルメディアやキュレーションメディアは未だに乱立している。とくに日本では似たような旅行系キュレーションメディア(RETRIP、Tabimoなど)がいくつも立ち上がっている。これらのメディアは各県のグルメ情報やあまり知られていない観光スポットを取り上げているわけだが、なぜか日本語版しかない。これを英語版に変えただけでかなりのPV数が見込めるのだろうが、どのメディアも「コンスタントに、安価で、英語のまとめ記事を更新してくれる人材」を持っていないため実行できていない(決して他サイトの写真の無断転載を肯定しているわけではない)。
外国人が書く地元の情報より、日本人が書く地元の情報のほうが信憑性が高い。また、英語の日本観光情報サイトは内容・デザインがお役所が作ったような堅苦しいものが多いため、参入の余地はまだまだある。少なくとも日本でいくつもの旅行メディアで競い合うより、(モラルうんぬんの話は置いておいて)海外に足を伸ばしたほうがよっぽどチャンスがある。
(とはいえ、自分たちでは取材しないキュレーションメディアが英語でも幅を利かせるより、地道に取材して外国人向けのコンテンツを作っている「MATCHA」に頑張ってほしいが)
クールジャパンを発信
また、アニメ、マンガなどのオタク文化の情報サイト「Tokyo Otaku Mode」が開設から3年あまりでfacebook1500万いいねを獲得するほどにヒットしたのは、その分野で他に日本初の競合がいなかったからだ。ずっと前からあってもおかしくなかったはずのテーマのサイトにも関わらず、海外に向けて堂々と発信できるだけの英語力を持った個人や企業がいなかったのだ。
クールジャパンといえば、最近よく見かける「海外の反応」系メディアは典型的な「海外のコンテンツ→日本向けに編成」のタイプのメディアだろう。「外国人たちが日本関連のニュースに対して、ソーシャルメディアや掲示板でどういう反応をしているか」を翻訳してまとめただけだが、多くのPVを集めている。日本礼賛の本やTV番組を見てムフムフ優越感を感じるようなジャパニーズには需要のあるコンテンツなのだろう。そのへんのサイトやSNSからコメントを引っ張ってるわけだから、著作権的な面をごまかしやすく、超てきとうに訳しても、声をあげて批判していく人は少ない。そのためハードルが低く、参入がしやすい。
海外の論文をコンテンツに
英語⇄日本語のメディアでいえば、個人的にけっこうチャンスだと思っているのが、論文のAbstract(論文の要旨)を訳してわかりやすくまとめたWebメディア。インターネットで様々なメディアが根拠のないデタラメな情報を垂れ流しまくっていることには、誰もが気づいていることだ。インターネットに膨大な情報が蓄積すればするほど、学問的な「信憑性」が重要視されるようになる。データもなく、誰が書いたのかもよく分からないようなコンテンツより、研究者がデータを載せて根拠を持った上で書いた主張のほうが誰だって安心して読める。しかし、問題は、論文を読むのが面倒だということ。そのため、論文のポイントを素人でも分かるようにまとめれば、多くの人が集まってくるのではないか。とくに英語の論文となれば、敵なしの超ブルーオーシャンだ。GoogleScholarを使えば、膨大な量の論文を検索し読むことができる。そして多くの人が気になっているテーマについての論文をいくつか簡潔に分かりやすくまとめ、出典先を明示する。都合の良いことに、論文にはインパクトファクターという信頼性を担保する指標がある。シェア数やPV数など曖昧なものではなく、明確な信憑性を記事を読む前に提示することができるのだ。
インパクトファクター:ジャーナルに掲載された論文が特定の期間内にどのくらい引用されたかを示す尺度
日本依存症からの脱却
分かっている人も多いだろうが、日本はいくつかの深刻な問題を抱えており、それらの問題の多くは解決することが実質、不可能だ。脅しではなく日本経済は実質的に破綻状態にあり、いつでも日本を脱出できるような準備を進めておいたほうが良い。その準備として最も効率が良く確実に活きてくるのは「英語力」だ。海外で住居を契約し、職を探し、面接を突破し、外国人しかいないオフィスで働いていけるだけの英語力だ。
もし既に、十分な外貨建て資産を持っていたり、海外にも軸足を置く企業に勤めているのであれば話は別だ。日本にいても荒波の中でも悠々と過ごすことができるかもしれない。そうではなく、資産を持っていない人、世界で通用するレベルの何らかのスキルを持っていない人こそ、英語を習得すべきなのだ。
日本から出なくとも英語は必要になる
英語が必要となるのは海外で働く場合だけではない。日本にいようと、外国人と共に働く機会は今後確実に増えて行く。理由を挙げればきりはないが、たとえば将来行われるであろう移民政策。「少子高齢化による現役世代への負担増加」への対策として、政府が現実的に実行できることは「移民受け入れ政策」しかない。子育てがしやすい社会づくりと銘打って若者への社会保障を手厚くしようとも、高齢化社会ではそのような政策を提示する政治家はマジョリティーに支持されない。まだ少子化を食い止める方法はあるかもしれない!と移民受け入れを先延ばしにするうちに、日本は衰えていく。そして、日本が深刻な経済危機に陥り「治安が悪化する」など悠長なことを言ってられなくなったとき、移民政策を実行せざるを得なくなる(そうなる前に、学力や職歴などに基づく受け入れ基準と、受け入れ教育体制をきちんと議論しておくべきだとは思うが)。
移民が受け入れられるようになれば、自然と英語を話さなければならない機会が多くなる。ビジネスオーナーが外国人になるケースも増えるだろうし、外国人相手にビジネスをする機会も増えるだろう。もちろん、相手にするのは日本に住む外国人だけではない。多くの企業が着実に海外に足を伸ばし始めている。ビデオ通話などオンラインで世界中の人たちと共にプロジェクトをする機会は今後ますます増えて行く。
日本ではビジネスレベルの英語力のある人材が限りなく少なく、その殆どが外資系企業/多国籍企業に集中している。英語力のある人材が、おそろしく供給不足なのだ。そのため、英語が話せる人材は日本中どこにいっても引っ張りだこだ。この傾向はますます顕著になっていく。はっきりと言って、使えるかどうかもわからない資格を取るより、英語を習得したほうがよっぽどあなたの人材価値は上がる。
英語で情報収集ができることの大きすぎるメリット
英語でストレスフリーにさくさくと情報収集ができることには大きなメリットがある。
まず、情報収集先が何十、何百倍にも広がる。何かを調べようと思ったとき、コアな情報を深く調べようと思ったとき、日本語でググっても見つからない場合がある。たとえば、病気の治療法や、薬剤の副作用、添加物の化学成分などに関する知識なんかは、日本語ではヤフー知恵袋などの薄っぺらい情報しか見つからないことが多い。日本語のWebサイトの質は、英語のWebサイトに比べて全体的に低質だ。また、多様性を欠いており、似たようなサイトばかりだ。なぜなら、日本のWeb市場には「日本語」という、海外からの参入をほぼ全て断ち切る強力なフィルターがあり、競争がそれほど激しくないからだ。
一方で、英語のWeb市場には、世界中から無数の企業と個人が参入し、日々激しい競争を繰り広げている。そのため、低質な記事は自然と淘汰されていく。また、英語コンテンツは何億、何十億という人たちが読者対象になるため、たとえニッチな分野であっても、大きなビジネスチャンスがある。そのため、どんなニッチな検索をしても、濃厚な情報にアクセスできる。
また、英語で情報収集をすれば、強固な個性を養うことができる。日本には英語で情報収集をする人がものすごく少ないため、それだけで他の人とは違う発想力や考え方を身につけることができるのだ。周りと違う視点からものごとを考え方ができるということは大きな資産だ。英語でググり欲しい情報を拾えるだけでも、それは強みになる。 アイデアに困ったとき、英語でググれば、日本では例のないオリジナリティー溢れる(ように見える)アイデアをさくっと引っ張ってこれる。たとえば、会社の忘年会で一発芸をしなければならないとき、英語でググってネタを見つけてこれば、他の誰とも間違いなく被らないかつグローバルスタンダードの一発芸が披露できるかもしれない。
海外旅行が何十倍も充実する
僕は1年間かけて世界を周っていたとき、ガイドブックは殆ど使わずインターネットでの情報をもとに次の行動計画を立てていた。日本の旅人たちの海外旅行もネットを探せば多く見つかるが、そのどれもが地球の歩き方にのっているような同じ情報しか載せていない。日本人バックパッカーたちが集まる場所というのは決まっているのだ。本当に秘境に行きたければ、英語でググったほうが良い。本当に美味しいレストランを訪れたければ、広告だらけのガイドブックを読むよりYelpのアプリで探したほうが良い。安くかつディープな旅行をしたければ、民泊サービスのCouchsurfingや、乗り合いサービスのRideshareを使えば良い。チケットを取るにも、日系代理店に頼らずにWebで予約すれば、大きな節約になる。何をするにしても、英語は海外旅行の質を何倍にも高めてくれるのだ。
世界に出てみよう
世界に出ることは、あなた人生を豊かにする。
人生をRPGゲームだとする。それは、どうひっくり返っても一度しかプレイすることができない。ひとつの場所に留まっていても、ゲームをクリアすることはできる。ただ、そのゲームには恐ろしい数の隠しステージがある。一生忘れられないディープな経験をさせてくれる隠しステージが無数にある。涙が出るほど美しく神秘的な絶景ステージ、TVと動物園でしか見たことのない野生動物が溢れる草原ステージ、浪漫溢れる謎だらけの遺跡ステージ…。一度きりの人生、素晴らしい隠しステージを見ないまま、終えてしまっても良いのだろうか。どうせクリアするゲームだからこそ、できる限り多くの冒険をし、驚き、喜び、ときに悲しみ、世界を味わいつくすべきではないか。
英語という武器を持っていれば、世界に出ることはずっと容易で気楽になる。
英語を学ぼう。それは間違いなくあなたの人生を豊かにする。
▼英語の勉強法については、以前書いたこちらの記事をご参考に