プロデューサーの重要度を感じたキッカケ
どの新作アニメに注目するかを考えるときに。
みなさんは “プロデューサー” には着目しますか?
私はまったく着目しておりません。着目度合いは0%。監督、シリーズ構成、原作があれば原作、アニメ制作会社etc…… そのあたりについては着目しますがプロデューサーには全然関心を払っておりませんでした。
しかしアニメに占めるプロデューサーの重要度は、私が思うより遥かに大きいようです。特にオリジナルアニメの場合はその傾向が顕著。そう痛感したのが先日購入した本に載っていた、P.A.WORKS堀川憲司さんのインタビュー記事でした。
先にちょっと言いわけを書いておきますと。
アニメのプロデューサーってのは他部門(監督・美術・原画・動画・撮影など)に比べてつかみづらいですね。多少調べてはみたもののよく分からないことも多いです。いったんは記事にするのを諦めたほどでした。がしかし思い直して、現段階の分かる範囲で書いてみます。
まず先日購入したという本について。
書籍名は「アニメスタイル006」です。
- 作者: (発行)スタイル
- 出版社/メーカー: メディア・パル
- 発売日: 2015/07/06
- メディア: ムック
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同書は2015年7月発売でアニメ「SHIROBAKO」をメインにすえた本です。
アニメ「SHIROBAKO」のプロデューサー・堀川憲司さんのインタビューだけで約25ページのボリューム。そして同書の中に、
作画や演出、シナリオなどについて語るファンは多いけど、コアなファンでもプロデューサーについて語る人はほとんどいないよね
正確じゃなくて申し訳ないですがそんな一文がありました。
ううむ、言われてみれば確かに……
私の観測範囲では、これまでツイッターやブログなどでプロデューサーについて語っている文章を読んだ記憶はあまり無いです。自分の書いた記事だと、プロデューサーのインタビュー記事を転載・引用した事はありましたが。
堀川さんのインタビュー記事を読んでみたら、「SHIROBAKO」に占める彼の割合がとても高いことがよく分かりました。最初の企画立ち上げはもちろん、水島努監督はじめ主要スタッフのキャスティングから作風、作品に込める最重要メッセージはおもに彼の手によるものだった、ということを理解しました。プロデューサーに関心が向くキッカケとなったインタビュー記事です。
堀川憲司(ほりかわ けんじ)
プロデューサー。P.A.WORKS代表取締役。1965年生まれ。2000年に奥さんの実家のある富山にてアニメ制作会社越中動画本舗を設立。2002年にはP.A.WORKSに社名を変更。代表作に「true tears」「CANAAN」「花咲くいろは」「TARI TARI」「有頂天家族」「SHIROBAKO」(いずれもプロデューサー)等がある。
(p.16より一部抜粋引用)
アニメのプロデューサーとは何か
では順番として逆になりましたが、ここで、
プロデューサーとは何か ―
これについて書籍「アニメーションの基礎知識大百科」から該当部分を引用してみます。
【プロデューサー】
作品の企画から納品までの総責任者のこと。
どのくらい総責任があるかというと、作品が成功したら全部自分の手柄にしてよいが、失敗したら全責任をとらねばならないというくらいあるわけだ。
メインスタッフと声優のキャスティングをする人。営業的側面が強い。
まあ堀川さんの場合はね……
P.A.WORKS代表取締役というポジションからくる比重の高さもあるのでしょう。
ではプロデューサーとは、アニメ製作工程のどのあたりに位置する人なのでしょうか? 同じく「アニメーションの基礎知識大百科」から、アニメーションができるまでの制作工程図表を転載してみます。
プロデューサーは図表でいくと一番上の赤囲み、「企画」にあたります。
アニメの企画は必ずしもプロデューサーによるものとは限らないですが(たとえば「ブブキ・ブランキ」の企画は監督・小松田大全さんによるもの)、アニメの立ち上げから主要スタッフの人選、宣伝までと、最初から最後まで関わる重要なポジションになるのだと思います。
ちなみに「SHIROBAKO」の宮森あおい。
彼女が所属していた制作部門とはどこになるのでしょう? 上図には載っておりません。制作部門については下に別の図表を転載します。
制作は、図表のオレンジのラインすべて。画像右のマンガのふき出し解説には、
「制作とは工程の一部じゃなくて全部をつなぐもの。いわばこの線すべてが制作!」
そんなことが書かれてあります。大変そう……
何となくですがアニメで制作部門に携わる人って、制作から始めてのちにプロデューサー、それがこの部門のひとつのパターンというイメージがあります。
↓ 参照
- 作者: 神村幸子
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- 発売日: 2009/09
- メディア: 大型本
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プロデューサーをアニメ以外のジャンルで例えてみると
アニメのプロデューサーについて軽くググり始めたときのこと。
プロデューサーってなかなか理解しづらいなーと感じました。理由は、プロデューサーが多人数の連名になっているからですね。
たとえば「SHIROBAKO」だとプロデューサーは、
堀川憲司、山崎史紀、福田順、岡村武真、金庭こず恵、田島宏行、伊藤幸弘
の連名に。
「SHIROBAKO」と同じP.A.WORKS*1水島努監督による最新作「迷家-マヨイガ-」だとプロデューサーは、
石黒達也、宮井梨江、八塚敬昌、前田俊博、福田順、岡本順哉、遠藤裕
の連名になっており、さらに「エグゼクティブプロデューサー」や「アニメーションプロデューサー」なる人たちがいて、なかなか掴みづらいものがあったりします。
(※修正しました。ブコメで指摘してくれた方々ありがとうです)
しかしプロデューサーには作品の色を決める人たちというイメージがあります。
まずどんな作品を作りたいかのビジョン(企画)があり、そのビジョンに沿うべく監督やシリーズ構成を選んでいきますので。「迷家-マヨイガ-」の場合も、監督(水島努)やシリーズ構成(岡田磨里)の人選はプロデューサーたちによるものでした。
プロデューサーのイメージをアニメ以外のジャンルで例えてみると。
私はMLB(メジャーリーグベースボール)のGM(ジェネラルマネージャー)が近いかなーと思います。
GMはどんな野球チームをつくりたいのか。
そのイメージに沿って、予算に合わせ監督だったりドラフトの新人獲得やFAの選手獲得などなど、「選手編成」に携わる人ってイメージです。アニメ同様GMは営業にも携わるでしょうしね。つまり、
アニメのプロデューサーはMLBのGM
……のようなもの。
今の段階で自分はそんな理解をしております。
最後に。「SHIROBAKO」インタビューで感じた盲点
ここまでアニメのプロデューサーについてあれこれ書いてきました。
私が言いたい事は、ほんとなんちゃない事です。
― これからはもうちょっとプロデューサー名に着目してみよう ―
ただそれだけのこと。
そして繰り返しになりますが、堀川さんのインタビュー記事を読んで「SHIROBAKO」に占める彼の割合の高さに驚きました。
(え、こんなにっ?! アニメのプロデューサーはこんなにありとあらゆる要素に絡み、作品に占める影響力が多大なのか !? )
もちろん作品によって千差万別でしょうけど、その驚きが「SHIROBAKO」インタビューで感じた盲点でした。これまでプロデューサーにはほぼ無関心でしたのでね。言いかえれば無知ゆえの盲点ともいえる。
もしかしたらオリジナルアニメ作品の場合、
― プロデューサー名を見れば作品の色がもっと予想できるようになる ―
かもしれないですね。
ということで。
堀川憲司さんのインタビューが面白く、そこからプロデューサーについて調べたり考えたりしてみたという話でした。
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*1:※修正しました。ブコメで指摘してくれた方々ありがとうです