表記の件。
目次
おさらい
熊本県で発生した地震時のLINEさんの対応にみる、災害時の通信のあり方 - わかりやすいのおさらいになりますが、
- LINEさんの「LINE Out 1通話10分まで無料」施策は、結果的に被災地の電話網の不要な負荷増に加担してしまった可能性が高い
- 届出電気通信事業者とはいえ、電気通信事業を行う会社として、法の趣旨に反した非常に軽率な行動だったと言わざるを得ない
これが当サイトの考察。
今日はここをもう少し掘り下げて、
- どうして軽率な行動を取るに至ったのか?
ここを考えてみようと思います。
どうして軽率な行動を取るに至ったのか?
原因の仮説を考えてみます。 数字が大きいほど高次元の問題であることを意味します。
- 1.影響を考えようとする人も仕組みも存在しない
- 残念ながらレベルが低すぎるといわざるを得ない
- 2.影響を考えたけど、電話網への悪影響まで考えが及ぶ人材が社内に存在しない
- 人材・能力不足
- 3.電話網への悪影響まで考えが及ぶ人材は社内に存在するものの、その人材へ連絡を取る必要性を考えなかった
- コーポレートガバナンス(基本的な統治機構)の問題
- 4.その人材へ連絡を取ろうとしたが、連絡が取れず、スピードを優先して実施に踏み切った
- コーポレートガバナンス(緊急時の人材体制)の問題
- 5.その人材へ連絡が取れ、実施すべきでないとしたが、何らかの判断(ほかに考えられるメリットのほうが大きい、等)により実施することとした
- コーポレートガバナンス(判断能力)の問題
さて、ここでLINEさんの見解から、仮説を絞り込んでみましょう。
LINEさんの見解
一時情報源はBuzzFeed Japanさんの模様。
関係しそうな部分を、文意が損なわれないと私が考える範囲で引用します。
本施策の実施判断は、LINE Outの通常利用率やこれまでの災害時の無料化実施時の利用増加率、被災地から被災地外へのLINE Out通話・発信については輻輳リスクが低いこと、PSTNのバックボーンを担当している事業者への事前確認、などを判断材料としましたが、最も多くの利用が想定される被災地外から被災地へのLINE Out通話・発信は、輻輳リスクを高めることは事実であり、輻輳リスクを最大限低減させるという点においては、考慮・配慮が充分ではなかったと認識しております。
その告知についても、災害掲示板やテキストメッセージが災害時における優先的なコミュニケーションである点、LINE Out利用は、緊急性が高い場合においても、繰り返しかけない、短い時間で終わらせる、被災地から被災外へのコミュニケーションに限るなどの注意点をお知らせ出来ていなかった点は、可否判断基準とあわせて反省する点、見直しを行うべき点です。
さて、仮説を見直してみましょう。
どうして軽率な行動を取るに至ったのか?
あくまでLINEさんの事後発表なので事実かどうかはわかりませんが、とりあえず信じるとします。
- 1.影響を考えようとする人も仕組みも存在しない
これは違うようです。赤字で書いたように、ちゃんと影響を考えたと言っています。
- 2.影響を考えたけど、電話網への悪影響まで考えが及ぶ人材が社内に存在しない
「PSTNのバックボーンを担当している事業者への事前確認」は行っているようなので、影響は考えたようです。 ただ、以下が謎です。
まともな電気通信事業者なら、今回のLINEさんからの確認依頼には「そんなことやってくれるな」と答える気がします。理由は熊本県で発生した地震時のLINEさんの対応にみる、災害時の通信のあり方 - わかりやすいを参照。
というわけで、影響の考え方の着想も含めて人材不足の可能性は捨てきれない。
- 3.電話網への悪影響まで考えが及ぶ人材は社内に存在するものの、その人材へ連絡を取る必要性を考えなかった
見解に関連事項が含まれず、否定も肯定もできず。
- 4.その人材へ連絡を取ろうとしたが、連絡が取れず、スピードを優先して実施に踏み切った
見解に関連事項が含まれず、否定も肯定もできず。
- 5.その人材へ連絡が取れ、実施すべきでないとしたが、何らかの判断(ほかに考えられるメリットのほうが大きい、等)により実施することとした
見解に関連事項が含まれず、否定も肯定もできず。
今ある情報だけでは、これ以上の考察は難しそうです。
せっかくなので、LINEさんの見解を考察
LINEさんは見解の中で、「(以下のような)注意点をお知らせできていなかった点は、可否判断基準とあわせて反省する点、見直しを行うべき点」とおっしゃっています。
- 災害掲示板やテキストメッセージが災害時における優先的なコミュニケーションである点
- LINE Out利用は、緊急性が高い場合においても、繰り返しかけない、短い時間で終わらせる、被災地から被災外へのコミュニケーションに限る
お知らせできていなかった理由が「考えていなかった」のか、「考えたけど適切に表現できていなかった」のかはわかりませんが、ここで今一度、施策実施時のアナウンス内容を見てみましょう。
LINEから固定電話・携帯電話にかけられる「LINE Out」機能で、日本国内の番号への発信を1通話最大10分まで無料化しました。家の電話やLINEでつながっていない方への安否確認にご活用ください。#熊本 #地震 #拡散希望 pic.twitter.com/rGzVUwG2mk
— LINE公式アカウント (@LINEjp_official) 2016年4月14日
LINEから固定電話・携帯電話にかけられる「LINE Out」機能で、日本国内の番号への発信を1通話最大10分まで無料化しました。家の電話やLINEでつながっていない方への安否確認にご活用ください。
この文章を書いた方は、以下のどちらの意図で書いたものか、推測してみましょう。
ちなみに自分には後者を意図しているのかな、と読み取りました。 もし自分の読み取ったとおりなのであれば、以下が「本当に実施前に行われた検討なのか?」「取材に対して後付け的に考えたものなのではないか?」という疑問が沸いてきてしまいますね。
本施策の実施判断は、LINE Outの通常利用率やこれまでの災害時の無料化実施時の利用増加率、被災地から被災地外へのLINE Out通話・発信については輻輳リスクが低いこと、PSTNのバックボーンを担当している事業者への事前確認、などを判断材料としましたが、最も多くの利用が想定される被災地外から被災地へのLINE Out通話・発信は、輻輳リスクを高めることは事実であり、輻輳リスクを最大限低減させるという点においては、考慮・配慮が充分ではなかったと認識しております。
その告知についても、災害掲示板やテキストメッセージが災害時における優先的なコミュニケーションである点、LINE Out利用は、緊急性が高い場合においても、繰り返しかけない、短い時間で終わらせる、被災地から被災外へのコミュニケーションに限るなどの注意点をお知らせ出来ていなかった点は、可否判断基準とあわせて反省する点、見直しを行うべき点です。
真偽は定かではありませんが、少なくとも自分にとっては、LINEさんに対する印象がぐっと改善するような発表ではありませんでした。
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