透明感のある耐震補強「CABKOMA」を隈研吾氏が語る
見た目も強度もGOOD!
地震が多い日本では、さまざまな耐震改修の方法がありますよね。建物の築年数や素材に応じて壁を増やして補強したり、屋内外を鉄骨ブレースで補強したり、耐震ボルトで補強したり、家屋の下に免震装置を設置するなどなど。ただ、その耐震技術を適用できない場合、施工が大がかりすぎたり、圧迫感があるなど見た目が著しく損なわれてしまうケースもあったりするようです。
その耐震改修問題を、小松精練株式会社が建築家隈研吾氏と開発した新しい耐震補強用素材で解決できると提案しています。その素材、CABKOMA(カボコーマ)はカーボンファイバー(炭素繊維)でできた糸です。引張強度が高く、耐震補強材としては世界最軽量、繊細で強靭な構造体です。しかも軽やかさを演出するデザイン性に優れたものなのだとか。小松精練はCABKOMAの力を証明すべく、石川県にある旧本社ビルを、カボコーマ・ストランドロッドで固定するデモンストレーションを行いました。
カボコーマ・ストランドロッドは細くて世界最軽量の耐震補強素材の糸です。その構造は、中心部分に炭素繊維を使用して、その周りを合成繊維や無機繊維で囲み熱可塑性樹脂をしみこませたもの。炭素繊維は衝撃を吸収するのに最適な素材で引張強度が強く、鉄と同じぐらいの強度があるのに90%も軽いんです。
また、ロッドの配置をコンピューターで正確に計算し、建物の屋内にロッドで壁を作ります。さらに建物の屋根から地面に固着することで、大きな揺れがきた際にビル全体を一緒に揺らすため耐震性も強化されます。
隈研吾氏の話によると、透明感があり明るくて解放感のある耐震補強をするという、それまでできなかった耐震方法を、カーボンファイバーを使用することによって、実現できたのだそうです。
あまり高層ビルには適してなさそうですが、近い将来、このカボコーマで囲まれた低層階の建物に遭遇する日がくるかもしれませんね。
いつ起こるか分らない地震への備えの選択肢が増えることは喜ばしいこと。手軽さ、コスト面においても、誰もが導入できる耐震改修方法がもっと増えてくること期待したいですね。
source: Komatsu Seiten Fabric Laboratory
Alissa Walker - Gizmodo US[原文]
(junjun)