細野豪志政策調査会長は9日午前、国会内で記者会見を開き、(1)高市総務大臣の放送法4条についての発言(2)安倍政権の経済政策――等について発言した。
高市総務大臣が8日の衆院予算委員会で、放送局が政治的な公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合、放送法4条違反を理由に、電波法76条に基づいて電波停止を命じる可能性に言及したことを受け、「これまで放送法4条は、事業者に対する努力義務と解されてきており、なかにはこの条文は違憲だとする憲法学者もいるが、通説はこれが努力義務にとどまるのであれば違憲ではないという考え方だったと承知している。その意味で、今回高市大臣が電波の停止に言及したことは極めて問題だ。そもそもこうしたことは憲法上も想定していないと思うし、このことに言及されることによる放送事業者の萎縮効果は非常に大きい可能性がある。このことをメディアが批判的に報じられないような雰囲気がすでにできてしまっているのでないかとすら思う。一言で言えば、放送法4条の濫用だ」と批判。引き続き、予算委員会等でただしていく考えを示した。
経済政策については、同日午前の東京株式市場で日経平均株価が一時、前日終値より700円超下落したことに加え、長期金利は下がり、為替は円高に振れているとして、「これだけ金利を下げているなかで円高、株安というのは、想定とは逆の動きになっていることを示しており、明確に曲がり角にきていることを示しているのではないか。マイナス金利はマイナスだったと言っていいだろう」と指摘した。
丸川環境大臣が7日、松本市内の講演で、東京電力福島第1原発事故を受けて国が原発周辺などで行っている除染で、基準となる年間被ばく量が1ミリシーベルトとされていることについて「何の科学的根拠もなく時の環境大臣が決めた」などと発言したと報じられている問題では、「詳しい発言の内容を確認したい。はっきりしているのは時の環境大臣は私だということ」としたうえで、「ICRP(国際放射線防護委員会)の基準を参考にして、十分議論したうえで除染については汚染者負担の原則もあり、しっかりとやるということだった」と説明。丸川大臣がそれを承知したうえで発言したのかどうかを確認してみたいと述べた。
赤字国債を2016年度から20年度までの5年間、政府が自由に発行できるようにする新たな特例公債法案について、岡田克也代表が財政規律の観点から「単年度ごとの審議が望ましい」との考えを示していることに対し、民主党政権時の2012年、民主、自民、公明の3党で成立させた特例公債法が12年度から15年度までの3年間の赤字国債発行を認めたものであったこととの整合性を問われると、当時与党の政調会長として議論に入っていた立場から、「なぜ成立をさせたかというと、その前に社会保障と税の一体改革もあり、お互いに歳入はもちろん歳出も含めて話し合う環境にあった。そのためには赤字国債の発行が必要であり、お互いに認め合おうということで賛成をしたという経緯がある。国会が衆参ねじれた場合、野党にとって巨大な武器になり、当時われわれが野党になる可能性もそれなりに考えるなかで、武装解除するような法案にあえて賛成した」と経緯をあらためて説明。そのうえで、「いま政府・与党側に赤字国債の必要性について話し合う雰囲気はなく、3年ちょっと前と今とでは全く状況が異なる。こうしたなか、5年間、例外たる赤字国債を出せるという法律にわれわれがやすやすと乗れるわけがない」と断じた。