ゲーム「パズル&ドラゴンズ」は4月15日、JOGAが定める「ガチャレアアイテム」(※)の一覧をサイトで公開しました。ガチャを提供する際の自主規制ルールなどをまとめた、日本オンラインゲーム協会(JOGA)の改定ガイドラインが4月1日から施行されたことを受けての対応と見られています。
しかし公開後、一部のユーザーからは「ただの水増し」「グラブルがマシに見える」「これ逆に確率表記絶対したくないと思われるだけだよな」などと憤る声も。また「何の意味もない自主規制」と、早くもガイドラインの実効性を疑う声もあがっています。
今回施行されたガイドラインでは、他のガチャアイテムに比べて希少な「ガチャレアアイテム」を提供する場合「取得にかかる期待値はガチャ1回あたりの金額の100倍以内、もしくは5万円以内」としており、これを超える場合はその金額、あるいはガチャの排出率を表示するよう定めています。「パズドラ」の場合はこの「100倍以内」ルールを守っているため、確率表示の必要はないというのが公式見解でした(関連記事)。
今回パズドラが批判されているのは、ガチャで提供されるモンスター全266種類のうち、ほぼ半分にあたる132種類を「ガチャレアイテム」と定めていたことが分かったため。ガチャ説明ページには今回から新しく、そのモンスターがガチャレアアイテムであることを示す「◇」マークが追加されましたが、実際に見てみるとかなりのモンスターに「◇」マークが付いていることが分かります。
これを先ほどのガイドラインに当てはめると、要するに「100回ガチャを引いたらこの132種のうちどれかは出るから確率表示の必要はない」ということになります。
確かにJOGAのガイドラインでは、どこまでをガチャレアアイテムとするかは「個々のゲームによって異なる」としており、はっきりと境界を定めていません。しかし総排出モンスターのほぼ半分が「ガチャレアアイテム」というのはかなり異常です。
また、ガイドラインではガチャレアアイテムについて、複数ある場合には「100倍/5万円以内に、複数あるガチャレアアイテムのどれか1つが出ればよい」とも定めています(関連記事)。
つまりガチャレアアイテムが5種類あって、それぞれの出現率が0.2%だったら、合計すれば期待値1.0%になるためセーフ。また5種類の出現率がそれぞれ「0.15%/0.15%/0.20%/0.25%/0.25%」のように異なる場合でも、合計が1%を上回っていればやはりセーフとなります。
しかしパズドラのように「266種類中132種類がガチャレアアイテムです」とした場合はどうなるでしょうか。
試しに編集部数人でガチャを引いてみたところ、13回引いて「ガチャレアアイテム」にあたるモンスターは7体出現。1%どころか、実に54%がガチャレアアイテムという結果になりました。見ようによっては良心的ですが、いずれも比較的出やすい「☆5」のモンスターばかりで、いわゆる「大当たり」にあたる「☆6」モンスターは1体も出ていません。これでは単に当たりを水増ししているだけで、ガイドラインでわざわざ「100倍/5万円以内」と上限を定めている意味がないとも言えます。
また、同じレア度内でもガチャレアアイテムであるものとそうでないものがあり、「何を基準に決めているのか分かりにくい」というのもユーザーの不満につながっているようです。
以前にも指摘しましたが(関連記事)、これはJOGAのガイドラインが抱えている致命的な欠陥であり、パズドラはあくまでこれに「素直に」従っただけとも言えます。しかし、ユーザーからは実際に「がっかりだよ」「何の意味もない自主規制」「五万出せば◇のキャラが1体出ますよ〜って舐めてんのかこいつら」など、厳しい声があがっているのも事実です。
同じく4月15日には、JOGAとMCF(モバイル・コンテンツ・フォーラム)による、業界関係者向けの「ガイドライン解説セミナー」も開かれました。しかし、ここでもやはり、ガチャレアアイテムの上限設定については、「いずれかのガチャレアアイテムを取得するまで」「ガチャレアアイテムが複数ある場合は、全部足して1%を超えるように設定してください」と説明。セミナーには100社を超える団体が参加していましたが、この説明を素直に受け取るなら、今後パズドラのようにガチャレアアイテムの対象を極端に広げることで、上限設定や確率表示を回避するゲームが現れてもおかしくはありません。
セミナーの冒頭、消費者庁 消費者政策課長の鈴木一広氏は次のように語りました。
「オンラインゲームの健全な発展のためには、業界内でルールを作り、実効性を担保していただくことが重要。その意味では、こうしたセミナーが業界横断的に開催されるのは非常に有意義と考えています。セミナーをきっかけに、ルールにのっとった消費者向けの分かりやすい情報提供の向きが広がっていくことを期待しています」(鈴木氏)
(池谷勇人)
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