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主要20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議が米ワシントンで…
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主要20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議が米ワシントンで開かれ、各国が金融政策や財政出動、構造改革などの政策を動員して成長をめざす方針を確認した。
金融市場の動揺がようやく静まり、最近は経済危機の再発懸念がずいぶん薄らいできた。とはいえ、世界経済が長期停滞に陥ったのではないかとの声も経済学者から増えている。
国際通貨基金(IMF)は最近、今年から来年にかけての各国の成長率見通しを軒並み下方修正した。これに対し、主要国はどこも新たな景気てこ入れ策の余力に乏しい。比較的堅調な米国経済ですら、世界経済を引っ張る成長エンジンの力強さは見られない。
こんなとき、どの国も自国の輸出産業を有利にできる通貨安を促したくなるものだ。だが通貨安競争はゼロサムゲームであり、自国が有利になる分だけ他国を不利にしてしまう。今のように世界中の経済がさえない時にそうした手法は控えるべきだ。G20がその点を再確認したのは当然である。
G20は目の前の対策よりも、長期的、構造的な課題へと取り組みの重点を移していくべきだろう。数年前まで急成長を誇ってきた新興国には最近、経常赤字や高インフレ、外貨準備不足などから資本流出が心配される国が少なくない。不測の事態に備える意味でも、G20の協調はますます重みを増している。
国家指導者らがタックスヘイブン(租税回避地)を利用した税金逃れや資産隠しに関与していたことを暴露した「パナマ文書」への対応も試金石となろう。文書には中国やロシア、英国などの首脳周辺、サウジアラビア国王やウクライナ大統領らの名前が登場している。
とりわけ新興国や途上国にはゆゆしきことだ。経済の抜本改革には政治の安定が不可欠だ。その責任を担うべき首脳が資産を海外に逃がし、黙認していたなら、みずから自国の将来を信じていないことになる。
多国籍企業や富裕層による税逃れへの対応は、各国で深刻な格差問題の面からも重要だ。それを防ぐことで再配分の新たな財源も生まれるだろう。
経済協力開発機構(OECD)とG20は、多国籍企業の税逃れ防止のため、銀行口座などの情報の自動交換制度を導入する。今回のG20会議は、この制度にすべての関係国が遅れずに加わるよう求めた。パナマなど合意していない国にも強く参加を働きかけ、協調体制を拡大してほしい。
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