いままで 確定拠出年金っていい制度だと思っていたのですが、この間、とある金融機関の人から営業を受けまして。
そこで芽生えた疑問
「確定拠出年金って受け取る時に所得税かかるの? え? 自分で出したお金なのに?」
普通、預貯金とか投資って、利息や収益に約20%の税金はかかりますが、それ以外は普通に受け取れますよね。だって、自分のお金だし。でも、確定拠出年金って、自分のお金なのに受け取り時に税金がかかるんですよね。
ちょっと、それっておかしくない?
確定拠出年金の仕組みのおさらい
確定拠出年金(DC)とは、自分で年金を用意する制度。拠出(出すお金)が決まっている年金です。受取額は運用次第で変わってくるんだけれど。確定給付年金が受取額が決まっている年金のこと。従来型の年金を確定給付年金といいます。
企業も国も個々の老後費用を保証できなくなってきていて、そのため、「自助努力で老後に備えてね」ってことになったわけ。
この確定拠出年金。拠出するお金は定期預金や投資信託や保険商品で運用することになる。そして、60歳になったら受取ができるように。
デメリットは口座管理費がかかるということ。60歳まで引き出せないということ。
メリットは、税金の優遇が受けられるということ。そして、60歳まで引き出せないということ。
今回は、この「税金の優遇」っていうところに疑問符がつくわけなんだけれど、それについて解説していきます。
税金の優遇は嘘!
「確定拠出年金は毎年所得税控除をうけることができるから、口座管理費がかかっても、やるメリットがある。」
なんて話が主流ですが、正確には、税金の優遇では無くて税金の繰り延べです。
将来、受け取り時に所得税がかかるので、拠出時には所得税を還付する必要があるということ。
だから、「所得税が還付されるからお得な制度!」というのは実は嘘、というわけなのです。私も過去記事で盛大に間違っていたので、ここで謝罪しておきます。
将来と現在の帳尻を合わせるために必要な措置が、所得税の還付というわけで、「節税できる素晴らしい制度」が確定拠出年金の本質というわけではないのです。
確定拠出年金の本当のメリットはどこにあるの?
確定拠出年金のメリットの一つと信じられた節税効果はここに否定されたわけです。
では、確定拠出年金にはメリットが何一つないのでしょうか?
確定拠出年金のメリットその①運用益非課税
確定拠出年金の口座内で得られた運用益は非課税になります。
NISAでも、投資信託などの運用益は非課税になりますが、5年間の時限的なもの。確定拠出年金であれば、60歳まで運用益が非課税となるとあって、非課税メリットを長期にわたって得られることになります。
確定拠出年金のメリットその②将来支払う税金を先に受け取ることができる。
確定拠出年金の所得税控除は課税の繰り延べである、という話をしました。
つまり、後で取られる税金を先に取り返すことができるということ。
今日受け取れる100万円は来年受け取る100万円より価値が高い、という話はご存知かと思いますが、お金は同じ額であれば受取が早い方がいいのです。運用して増やすことができますからね。
そういう意味では、還付された税金を効率よく運用することによって、時間を味方につけることができるのかもしれません。
まとめ
確定拠出年金は税金の優遇が受けられる、なんて大きな勘違いをしていて本当にすいませんでした。確定拠出年金で返還される所得税は将来の課税分の返還にあたります。だから、節税策として安易に導入することは考え直したいところです。
それでも、運用益非課税というメリットはあります。が、預貯金だけで運用するような場合には、口座管理費用の方が高くつくかもしれません。確定拠出年金、よくよく考えて加入するかどうか考えたいものです。
おまけ。
純粋に節税にする方法はゼロではありません。
確定拠出年金は、60歳受け取りになりますが、年金は65歳以降の受け取りになります。
つまり、60から65歳にかけて、受け取りに所得税がかからない年間108万円までの額で受け取り設定をすれば、所得税還付額は丸どりできる計算に。
他の所得を控除内に収めるなどの工夫は必要ですが、やりようによっては、本当の節税策にすることは可能なのではないでしょうか。
他にも、退職金として一時金で受け取る、など確定給付年金の受け取り方によって、節税方法は多岐に渡ります。既に確定拠出年金を始めている人は、受け取り方をきちんと調べて、一番お得な方法で受け取れるように勉強しておきたいところです。
以上
*ちなみに、営業マンに「自分のお金なのに、なんで税金かかるの?」と訊くと、言葉を濁していました。とりあえず、金融機関の方はきちんとこの点をおさえておいてほしいものです。節税方法まで提言できるとベストですよね。