「画期的だが高過ぎる」 好調・小野薬品は バブルで終わるか
経済界 / 2016年2月8日 13時12分
世界的な株安が進行している中、不況下にこそ強い「ディフェンシブ銘柄」と目されてきた製薬関連株も、ここへきて株価を大きく下げている。特に下落の著しいのが小野薬品工業。夢の新薬「オプジーボ」で注目を浴びる同社だが、意外なリスクも抱えている。 文=ジャーナリスト/河野順平
ノーベル賞級の偉業
小野薬品が開発・販売している画期的な抗がん剤「オプジーボ」の将来性に、不吉な影が見え始めた。
10年前は5千円台そこそこだった同社の株価は、オプジーボのポテンシャルに対する期待の高まりを反映して、2013年頃から急騰。14年9月に同剤を日本で発売した当初、適応症は日本では患者の少ない悪性黒色腫(皮膚がんの一種)だったが、非小細胞肺がんの追加適応症を厚生労働省が承認した昨年12月18日には、2万2400円という上場来高値を付けた。しかし、年明けから株価は調整局面に入り、1万8千〜1万9千円台を推移している(1月末現在)。
先に断わっておくと、オプジーボの抗がん剤としての実力に、今のところ疑いの余地はない。
新薬に未知の副作用は付き物だと考えるべきで、オプジーボとてその限りではないものの、同剤は「免疫チェックポイント阻害剤」と呼ばれる新しいタイプの抗がん剤の地平線を切り開いた画期的新薬だ。既に承認を得ている皮膚がんや肺がん、日本では承認申請段階だが腎がんといったさまざまながんで、目覚ましい治療成績を示している。
特に、患者数約10万人に上る肺がんに、オプジーボが使えるようになった(現時点では他の抗がん剤が効かなかった患者向け)ことの意味は、医学的にもビジネス的にも、そして社会的にも非常に大きい。
オプジーボは、がん免疫療法という、比較的古くから提唱されているがん治療に使う薬剤の一種だ。代表的な手法はがんワクチンで、人間が本来持つ免疫の力を引き出し、がんに打ち勝つという手法は数多く研究されてきたが、製品として医学的検証に耐え得る成果を出したものは皆無だった。
抗PD-1抗体と呼ばれるバイオ医薬品を投与することで免疫のブレーキを外し、がんを「異物」として攻撃するよう誘導するオプジーボは、大規模な臨床試験で、発症後の予後が特に悪いことで知られる悪性黒色腫などで、劇的な腫瘍縮小効果を実証した点が画期的だった。ここ10年、抗がん剤開発の主流だった分子標的薬よりも、さまざまながんに効く可能性がある点も特徴だ。オプジーボの創薬に多大な貢献を果たした京都大学の本庶佑博士は、ノーベル医学・生理学賞候補に上がっている。
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