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県内には、政府の地震調査研究推進本部が公表している主要な活断層はないが、以前から日向灘地震の危険性が指摘されている。
日向灘地震はプレートがプレートに沈み込む境界付近で発生する。同本部は、30年以内のM7.1前後の日向灘地震の発生確率を70〜80%、M7.6前後は10%程度と予測する。
県の地震・津波被害想定調査(2006年度)では、震源を日向灘の南部と北部に分け、M7.5の地震で震度6強の揺れが起きた場合、南部では宮崎市を中心に建物の全半壊が約6万8500棟、火災で4500棟が焼失、882人が死亡すると想定。北部では全半壊約4万4600棟、焼失約3300棟、死者331人、と想定している。加えて、津波でも死者は最大672人にのぼる。
宮崎大学の原田隆典教授(地震工学)は、より切迫した危険性を指摘する。1899年以降、日向灘で起きたM6以上の地震の傾向を調べた結果、14年周期で頻繁に起きる活動期と全く起きない休眠期が交互に訪れているように見えるためだ。
それぞれ1〜5年の誤差はあるが、最近、M6以上の地震が発生したのは1996年12月。14年以上が過ぎ、2010年前後から活動期に入っていると推測している。
原田教授らが、1662年に日向灘で起きた外所(とんどころ)地震(M7.6)と同じ条件でシミュレーションすると、宮崎市沿岸には5〜6メートルの津波が襲う結果になった。「震源が内陸に近いと被害が出る。いきなりM7〜7.5の本震が襲うこともあり得る」と原田教授。
日向灘沖での地震は、南海トラフ地震と連動する可能性もあり、内閣府は県内で最悪4万2千人の死者が出る想定を公表した。県も単独でのM9級の地震もあり得る、として震源域を南側に広げた被害想定を検討している。これらの地震については、原田教授は「過去の記録がなく、いつ起きるか推測はできない」と話す。(中島健)