熊本地震、16日未明に震度6強の余震 再び一部で停電
熊本県益城町で最大震度7を観測した地震で16日未明、阿蘇、熊本などで震度6強と震度6弱の余震があった。気象庁は有明・八代海に津波注意報を発表した。県は15日、建物の倒壊などによるけが人が1000人を超えたと発表。うち重傷は53人となっている。死者は9人。
震度1以上の余震は15日午後11時現在で149回。14日夜より頻度は減ったものの断続的に続いている。政府の地震調査委員会は活断層の「日奈久(ひなぐ)断層帯」の北側の区間が横ずれして発生した可能性が高いとし、国土地理院も地下の断層が長さ18キロ、幅10キロにわたり60センチずれたとの解析結果を発表した。
地震調査委員会の委員長の平田直東大教授は「典型的な内陸地震。浅いところで起きて直上の地点が強く揺れた」と説明し、阪神大震災と同タイプの直下型地震との認識を示した。東大地震研究所も、揺れの周期は木造家屋に大きな被害をもたらす特徴があり、阪神大震災と共通点があると指摘した。
16日は天候が悪化するとみられ、土砂崩れなど二次災害への警戒も必要になる。九州電力などはインフラ復旧を進めた。県によると、一時4万人を超えていた避難住民は15日午後3時現在で、約7300人まで減少した。安倍晋三首相は政府の非常災害対策本部会議で、被災地を16日に視察すると明らかにした。
気象庁によると、15日午後4時から3日間に震度6弱以上の余震が発生する可能性は20%、震度5強以上は40%としている。熊本地方は16日午後から雨が予想され、気象庁は土砂災害に注意するよう呼び掛けている。
死者は、益城町で8人、熊本市で1人。熊本市によると、午後3時現在の建物被害は79棟。うち住宅は33棟で、内訳は全壊1棟、半壊4棟、一部破損が28棟となっている。益城町はまとめていない。文部科学省は地震の影響で、熊本県内の公私立小中高、幼稚園など計390校が休校になったと発表した。
九州他県の人的被害は佐賀でけが人が6人、福岡3人、宮崎2人、大分1人となっている。
一方、九州電力によると、熊本県内では益城町を中心に一時約1万6300世帯が停電したが、約2400人態勢で作業にあたり15日午後11時に復旧した。
断層の長さや幅、ずれが大きいと地震の規模が大きくなるとされる。