長き不遇の時代から
「俺たち、これからすごいことになるぜ!」
バナナマンが結成されたその日の夜、日村勇紀は設楽統に向かって真顔でそう宣言した。それから20年余り、その言葉どおり、バナナマンは「すごいこと」になった。
今年4月現在におけるキー局のレギュラー番組は、月曜に『YOUは何しに日本へ?』(テレビ東京)、火曜深夜に冠番組の『そんなバカなマン』(フジテレビ)、木曜に『奇跡体験!アンビリバボー』(フジテレビ)、金曜に『沸騰ワード10』(日本テレビ)、土曜に『ジョブチューン』(TBS)と新番組『バナナ♪ゼロミュージック』(NHK総合)、そして日曜深夜に『乃木坂工事中』(テレビ東京)と、水曜日を除く全曜日にわたる。
これに加え、日村単体では月曜深夜に新番組『万年B組ヒムケン先生』(TBS)が始まり、火曜に『優しい人なら解ける クイズやさしいね』(フジテレビ)がある。設楽は帯番組『ノンストップ』(フジテレビ)はもとより、木曜深夜の『クレイジージャーニー』(TBS)に加え、日曜の新番組『ピラミッド・ダービー』(TBS)も始まる。
なによりすごいのは、お笑い番組から情報番組、アイドル番組や音楽バラエティと多種多様な番組に出演、その役割も司会からパネラー、プレイヤーまで幅広いということだ。まさにテレビの申し子。現代のバラエティが生んだ最高傑作の一組と言っても過言ではない。
だが、もはや忘れがちだが、ほんの10年前くらいまでバナナマンは「テレビ向きではない」芸人の代表格とされていた時代が長かったのだ。
バナナマンはデビュー当時から、爆笑問題、ネプチューン、海砂利水魚(現・くりぃむしちゅー)、U-turnらブレイク前夜の実力派芸人たちがしのぎを削っていた東京のライブシーンですぐに頭角を現し、一目置かれるようになっていった。
だが、ひとつの転機が訪れる。それが、20年前に『ボキャブラ天国』シリーズ(フジテレビ)が巻き起こした「ボキャ天ブーム」だ。
若手芸人が多数出演したこの番組は若者を中心に大きな人気を集め、芸人たちは「キャブラー」と呼ばれアイドル的人気になっていった。バナナマンはその番組に「出ない」と決めた。周りが次々と「キャブラー」としてブレイクしていく中、バナナマンはライブで自らの笑いを追求していった。
だが、普段のライブに訪れるのは「キャブラー」目当てのファンばかり。誰もネタをちゃんと聞いてくれなかった。ある時などはバナナマンがネタをやっている最中に、最前列のお客さんが自分の飲んでいる紙コップをステージに置いたことすらあったという。
そんなときに出会ったのがまだコンビ時代のバカリズム(升野英知)だった。
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