G7外相会合 被爆者は「証言聞く機会を設けて」

G7外相会合 被爆者は「証言聞く機会を設けて」
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アメリカのケリー国務長官が現職の国務長官として初めて広島の平和公園を訪れたことについて、みずからの被爆体験を英語で証言する活動を続けている女性は「被爆者の話を聞く機会がなかったことはとても残念だ」と述べ、被爆者から直接証言を聞く機会を設けてほしかったと訴えました。
8歳で被爆した小倉桂子さん(78)は、30年余りにわたって海外の人たちをガイドするボランティアグループの代表として活動するかたわら、みずからの被爆体験を英語で証言し続けています。

小倉さんは、警備のため平和公園に入ることが規制されたため、テレビで各国の外相らが原爆慰霊碑に献花する様子を見守りました。小倉さんは「今回の訪問はとても意味があることですが、なぜ70年以上も時間がかかるのかと感じます」と述べました。そのうえで、ケリー長官と被爆者が接する機会がなかったことについて、「被爆者との間で人と人との触れ合いを持つことで感じてもらえるところも多いはずなので、話を聞く機会がなかったことはとても残念に思います」と述べ、被爆者から直接証言を聞く機会を設けてほしかったと訴えました。
小倉さんは「ここへ来てもアメリカが被爆者の話に耳を傾けないという現実をみんなで受け止める必要がありますし、私たち被爆者たちも、まだまだ努力が必要なのだと感じました」と話していました。

海外メディアの被爆者証言取材なし

G7=主要7か国の外相会合にあわせて、広島市は海外メディアを通じて核兵器の悲惨さを訴えようと、報道機関の取材拠点で被爆者による証言活動を3回企画しましたが、取材に訪れた海外メディアはなく、被爆者の1人は「被爆の恐ろしさを直接伝えたいと思っていたのに残念だ」と話しています。

広島市は海外メディアを通じて核兵器の悲惨さを訴えようと、G7外相会合が開かれた11日まで3回にわたり、報道機関の取材拠点の国際メディアセンターで、被爆者による証言活動を企画しました。最終日の11日は山本定男さん(84)が英語の資料を用意して講演しましたが、市によりますと、この3回の証言活動を取材に訪れたのはいずれも国内の記者で、海外メディアはいなかったということです。山本さんは「海外の人たちに被爆の恐ろしさを直接伝えたいと思っていたのに残念だ」と話していました。

また、同じ会場でこの3日間、随時開かれた、被爆者に代わって体験を語り継いでいる被爆体験伝承者の講話会も、海外メディアからの参加は合わせて3人にとどまったということです。市の担当者で、原爆資料館啓発課の西田満課長補佐は「証言活動を設定した時間と、外相会合そのものの取材時間が重なった部分もあったと思う。結果を検証し、来月の伊勢志摩サミットでの活動に生かしたい」と話しています。