文/高橋学(立命館大学 歴史都市防災研究所 環太平洋文明研究センター教授)
非常に「いやな位置」で発生した地震
4月14日21時26分に北緯32.7度、東経130.8度深さ11kmを震源とした、震度7、M6.5の地震が熊本県で発生した。いわゆる内陸直下型地震であり、2004年に起きた中越地震同様に多くの余震が続いている。
この地震は、非常に「いやな位置」で発生した地震である。というのも、この震源が阿蘇山のすぐふもとを走る府田川断層である考えられるからだ。阿蘇山というのは、長野、静岡、愛知、和歌山から四国を突き抜け、九州に至る巨大な断層の集中帯の上にある。
このことを考慮すると最悪の場合、長野や静岡、四国、九州で、今回と同じような内陸直下地震が立て続けに起こる可能性があるのだ。そして、その先には、南海トラフの巨大地震が控えている。
イメージとして、今回の熊本の地震は、2011年3月11日に起こった東北地方・太平洋沖地震(東日本大震災)に先立って発生した、岩手・宮城内陸地震(08年)と類似していると考えていただきたい。
というのも、熊本地震が発生する以前、福岡の警固(けご)断層や兵庫県の山崎断層で、震度1に満たないような地震が頻発していたからだ。これは、宮城内陸地震の前兆と似ている。そう考えると、またひとつ大きな地震が起きる、と推測できる。
また、熊本では2月12日以降、深さ10kmでM1.7~M2.7の地震が発生していた。これらの地震は規模が小さく、とるに足りないようにみえた。しかし、これらの地震を発生させているエネルギーの流れを詳しく見ていくと、台湾-琉球諸島-西日本-中部日本-東日本の一部の位置するユーラシアプレートと、その下にもぐり込んで圧縮しているフィリピン海プレートにまでたどり着く。
こうしたプレートの動き全体をみる必要性があり、今回の熊本の地震だけでは収まらないと考えるのが、自然なのである。
事実、4月1日には、東南海地震を彷彿させるM6.1の地震が紀伊半島沖で発生している。さらに、4月10日には兵庫県神戸市南東部の六甲断層系でM4.3とM3.5の地震が続いた。ここに至り、台湾から東日本の一部までを全体として捉え、それらの地震を関連付けて考えるのは間違いでないと確信するようになった。
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