〝性欲がある自分〟が嫌いな人に必ず読んで欲しい。エロティックホラー漫画『hなhとA子の呪い』 性と愛の本質に迫る、愛の悲喜劇。

佐伯 英毅2016年04月15日 印刷向け表示
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突然ですが・・・
あなたは、自らの〝性欲〟について
悩んだり、真剣に考えたことはありますか?

性欲が薄いと言われて落ち込んだことがある人。
外では淡白ぶっているけど、実は違う人。
自ら、今までの性体験や性癖を赤裸々に語れる人。
有り余る性欲を持て余して困っている人。

そんな、全ての、〝性欲〟について、
真剣に考えたことある人(とくに男性)にとって、忘れられなくなる漫画を今回ご紹介します。
※ちなみに、エロ漫画ではなく、ホラー漫画です。

hなhとA子の呪い 1 (リュウコミックス)
作者:中野でいち
出版社:徳間書店
発売日:2016-04-13
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  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
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  今回ご紹介するのは『月刊コミックリュウ』で連載中の、『hなhとA子の呪い』(中野でいち先生)
さっきも書きましたが、この漫画はエロ漫画ではありません。でも、限りなく性と愛の関係の本質に迫ろうとしている漫画です。なんてたって、1巻1ページ目1コマ目1セリフ目が、

「愛とは一体なんだろう」

ですから。
この物語の主人公は、極度の純愛ロマンチスト。性欲を毛嫌いしています。



「性欲は人を傷つける」
「性欲は人を狂わせ惑わせる愛の敵」
「性欲は人類にかけられた捨て去るべき最低最悪の呪い」

と過激に主張する主人公・針辻(はりつじ)の前に、謎の少女A子が現れてから、異常な物語が幕をあけます。彼女は、針辻にしか見えない妄想(?)のような存在で、針辻が抑え込んでいた性欲を、ドンドン引き出していくのです。
そして、「性欲のある自分」が認められない針辻は、精神を病んでいきます・・・
そんな性欲抑制系男子・針辻の妄想爆発させたときは、とにかくすごい。

 A子登場により、針辻が
トリップしだしてからは、凄まじい勢いがあります。
読んでいるこちらを落ち着かせない展開の連続。まるで、シャレにならないくらい怖いホラー映画か、精神病患者のヘヴィなドキュメンタリー映画を観ているよう。
終わらない悪夢と、精神崩壊していく主人公の顔。
被害妄想が強くなっていく様子は、
かなりリアルに精神が蝕まれていっている様子を描いています。

安易に手に取った人、トラウマになったりするかもしれません…

 

そして、物語が進みにつれ、彼の悩みはどんどん本質に迫っていきます。そんな、針辻の悩みがこんなセリフに表されています。

 

俺が囁く 愛の言葉は
蛍の発光と どう違う
胸の高鳴りは ただの発情で
見つめる まなざしは ただの前戯で
愛に震えた涙でさえも
ただの愛液なのかも しれない…!!

(by 針辻 真)

 そうして、被害妄想と自己嫌悪により
精神がズタボロになりながらも、
彼は目の前のことから逃げずに、苦しみながら闘うことを決意します。

そう、これは自らに流れる本能・欲求と、
真正面から向き合っていくバトル漫画であり、自分にしか見聞きできない妄想によって、じわじわと精神の崩壊を描いたホラー漫画であり、至高の恋愛漫画になる可能性を秘めた作品です。
まだ1巻とは思えない濃密な内容なので、
気になった方は、ぜひお試しあれ。

 

hなhとA子の呪い 1 (リュウコミックス)
作者:中野でいち
出版社:徳間書店
発売日:2016-04-13
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 ちなみに、連載している『月刊コミックリュウ』の公式サイトでは2話一気に試し読みできるみたいです。少しだけ気になった・・・という方は、こちらからお楽しみください。

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