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震度7熊本地震を岩田記者が現地ルポ 直下型の恐怖、局地的被害
平成28年熊本地震
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1階、2階ともに大破した家から、持ち出せるものを探す園川一美さん(左)と妻
Photo By スポニチ |
熊本県益城(ましき)町で震度7を観測した地震から一夜明けた15日、熊本県警は建物の倒壊などによる9人の死亡を確認したと発表した。20軒以上が倒壊し、崩れ落ちた住宅から生後8カ月の乳児が見つかり歓声が沸く一方、息絶えた家族の姿に泣き叫ぶ人もいた。九州で震度7を観測したのは初めて。東日本大震災を受けて気象庁は「平成28年熊本地震」と命名した。
県道28号沿いに、被害の激しい益城町の惣領、馬水、安永地区を歩いた。所々で波打ってヒビ割れた道路、崩れ落ちた木造家屋の2階が道路をふさぐ光景を見て、1995年の阪神・淡路大震災を思い出していた。
当時、大学生で兵庫県西宮市のアパートに住んでいた記者は、1階の自室で寝ていた。ベッドに両手をついて踏ん張ったが膝が浮くほどの揺れだった。3秒ほどで信じられない重さの“何か”が背中に落ちてきた。2階だった。3時間後に救出されたが、本気で死を覚悟した。
今回の地震は、震源が浅く直下型だったことなどから、阪神・淡路大震災との共通点が指摘されている。至近距離から地盤を揺さぶる強い力が、アスファルトをゆがめ、木造家屋を破壊した光景は、確かに似ているように見えた。
強烈な揺れが前触れなく来たのも同じ。町の公民館駐車場に避難した山本千賀子さん(63)は「ドーンと突き上げるような揺れがいきなり来た。立っていられなかった。家がミシミシ、バリバリと音を立てていた」と青ざめた顔で話した。
1階が押しつぶされた家の前を行き来する男性に話を聞いた。親族の宮守陽子さん(55)が亡くなったという。「彼女は1階に住んでいた。その姉も兄も生き埋めになって、彼女だけ助からなかった」と無念の表情。近所の人によると「20代くらいの娘さんが涙ながらに“母が中にいます”と消防隊員に助けを求めていた。チェーンソーの音が響く中“頑張れ”と声を掛け続けていた」。だが、懸命の救出にもかかわらず宮守さんは心肺停止状態に。住宅内にいた母親を窓越しに見た娘は「お母さん」と何度も泣き叫んでいたという。
余震が頻繁に続くのは直下型地震特有のものではない。だが崩れかけた建物がギシギシ音を立てるのを聞くと、ガレキに挟まれたまま揺さぶられた21年前を思い出す。陽子さんの恐怖と無念を想像し、手を合わせた。
ぺしゃんこに壊れた家から、家財道具を探していたのは園田一美さん(54)。一家は妻と娘、父と4人暮らし。地震発生時、一美さん以外の3人は1階で寝ており、ガレキの中をはい出すようにして外に出た。その際、娘は目の上を切るケガを負った。「顔が血だらけで、父に驚かれた。はい出る途中、何かで切ったんだと思う」。まぶたが大きく腫れていたが、生き延びた安堵(あんど)からか笑顔も見せた。
壊れた自宅の前で、電話帳をめくる70代の男性がいた。「きょう泊まるホテルを探している」という。隣に座る50代の息子は、無言で壊れた家を見つめていた。(岩田 浩史)
[ 2016年4月16日 05:30 ]
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