【米大統領選2016】クリントン、サンダース両候補 討論会で激しい応酬
- 2016年04月15日
米大統領選に民主党から立候補したヒラリー・クリントン前国務長官とバーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)は14日、ニューヨーク市で開かれた討論会で、これまでになく激しい応酬を繰り広げた。
共和党とは対照的に、これまでの民主党の選挙戦では、個人的な攻撃は大方避けられていたが、両候補の大統領としての資格をめぐる批判合戦が激化し、双方を否定し合う選挙戦の色合いが強まっている。
大票田ニューヨーク州の予備選が来週19日に迫るなか、両陣営とも余裕を失った格好だ。
サンダース氏は討論会で、「クリントン氏が大統領になるのに必要な経験と知性を持っているかと問われれば、もちろんだ。しかし、判断力には疑問がある」と述べた。
サンダース氏は、クリントン氏と大手金融機関の経済的なつながりを繰り返し批判。特に投資銀行から受け取った高額の講演料をやり玉に挙げた。また、クリントン氏が上院議員時代にイラク戦争を支持したことも非難した。
一方、クリントン氏は、サンダース氏がニューヨーク・デイリー・ニュース紙のインタビューで、提案する政策の具体的な内容をうまく説明できなかったことを取り上げ、十分に検討していないのではないか、と指摘した。
クリントン氏は、「問題を診断するのは簡単だが、それについて行動を起こすのとはまったく別問題だ」と語った。
登壇した両候補を見ても緊張関係は明らかだった。サンダース氏がクリントン氏の発言を揶揄した一方、クリントン氏もサンダース氏の発言を遮る場面が何度かあった。
主な発言は以下の通り。
・サンダース氏は過去の納税記録を15日に公表すると約束。しかし、クリントン氏は報酬を受けとった講演の発言録を公表しないと述べた。
・クリントン氏は、もし民主党が下院の多数派となり、連邦レベルで最低賃金を15ドルに引き上げる法案を出せば、支持すると表明。
・クリントン氏は、サンダース氏の銃規制に関する投票歴を強く非難。銃器メーカーを訴訟から守る法案に賛成票を投じたと非難した。
・サンダース氏は気候変動の脅威を熱心に語り、オバマ政権の政策について「あのような小さい対策では不十分だ」と述べた。
・クリントン氏は米国によるリビア介入で果たした自身の役割を弁明。サンダース氏はクリントン氏がリビア不安定化に一役買ったと非難した。
・サンダース氏は、北大西洋条約機構(NATO)への財政貢献を欧州の同盟諸国が増やすべきだとし、共和党から立候補しているドナルド・トランプ氏と同様の主張をした。
・サンダース氏は、イスラエルとパレスチナの対立をめぐる米国の役割について、「我々はいつまでも片方に偏っているわけにはいかない」と述べた。
・クリントン氏は、人工妊娠中絶を強い調子で擁護。それを歓迎する会場の聴衆から歓声を受けた。
共に地元のニューヨーク決戦へ
サンダース氏は直近の8州の党員集会・予備選のうち7州で勝利しており、支持者の熱気も高まっている。
ニューヨーク市マンハッタンのワシントン広場で13日に開かれた集会には2万5000人が参加した。
しかし、序盤に開かれた南部州の予備選で勝利を収めたクリントン氏は、党候補を選ぶ代議員数で相当なリードを保っている。
多くのアナリストは、ニューヨーク州の予備選でサンダース氏が予想外の好成績を収めない限り、党の指名をうかがう候補であり続けるのは難しいとみている。
同州選出の上院議員を2期務めたクリントン氏は、最近の世論調査では、州内の支持率でサンダース氏にかなりの差をつけてリードしている。
(英語記事 US Election 2016: Clinton and Sanders raise the volume in feisty debate)