これまでも、中国経済依存や、北朝鮮の核・ミサイル問題といったリスクを抱える韓国から資金を引き揚げる動きが出ていたが、室谷氏は「与党惨敗で『韓国はやはり危険だ』と見て、逃げ出すのではないか。(アジア通貨危機で事実上破綻した)1997年以来の重大危機に陥る可能性もある」と分析する。
日韓関係はどうか。
日韓両政府は昨年12月下旬、慰安婦問題をめぐって、(1)日本が10億円程度を拠出し、韓国が元慰安婦を支援する財団を設立する(2)韓国側はソウルの日本大使館前の慰安婦像撤去に努力する−ことなどで合意した。
これに対し、野党の「共に民主党」と「国民の党」はともに、「日韓合意の無効」「再協議」を求めている。
室谷氏は「朴氏は当面、日韓合意を崩さないだろう。ただ、動かず、黙り込む場面が増えるのではないか。慰安婦像撤去は進まず、日本の10億円拠出もできなくなる。朴氏は経済危機を乗り越えるため、日本との通貨交換(スワップ)協定再開に意欲を見せるだろう」という。
こういう状況をほくそ笑んでいるとみられるのが、中国と北朝鮮だ。「日米韓の連携」を揺さぶる工作を仕掛ける可能性もあるという。
室谷氏は「共に民主党は反米色が強く、米軍の最新鋭地上配備型迎撃システム『高高度防衛ミサイル(THAAD)』の韓国配備に反対している。今後、韓国国内に潜伏した工作員が動き出すのではないか。今回の与党惨敗は、東アジアの平和と安全を守る日米韓の安全保障にはマイナスだ」と語っている。