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代表理事ごあいさつ ~50周年を迎え~

 一般財団法人計量計画研究所は、1964年7月に行政管理庁の認可により財団法人として発足した。当時の資料等によると、研究所の名称は英語の「The Institute of BehavioralSciences」が先に決まり、この日本語訳として「計量計画研究所」が決められたようである。
 当時、わが国は池田内閣による所得倍増計画が着実に実現し、コンピューターの技術革新は目覚ましいものがあった。このような背景の中で、日立製作所が外務省に初の大型計算機を導入、それを支えるバックアップ研究所の必要性を強く認識して、日立製作所4千万、日本ビジネスコンサルタント(NBC)1千万の基金によって設立され、コンピューター業界では、初のシンクタンクと言われもした。
 初代の理事は、文部省統計数理研究所林知己夫先生、東京大学経済学部大石泰彦教授、同教養学部京極純一助教授、同宇宙航空研究所穂坂衛教授、港湾審議会計画部会長鮫島茂氏、明治大学工学部後藤以紀教授がなり、理事長に早稲田大学政経学部河辺旨教授が務められ、専務理事に日本道路公団調査室長であった佐々木恒一氏がなった。
 また、設立時の研究室は、行動科学、統計数理、交通、経済、システム、防衛科学の6室からなっていた。これから推察すると、外務省、防衛庁、経済企画庁等による国力、国防等に関する“科学的計画”を目指していたのではないかと思われる。しかし、数年後より、建設省、日本道路公団等による自動車OD調査とその分析、東京都市圏パーソントリップ調査を初めとする総合都市交通体系調査が有力な受託調査となり、研究室もそれに合わせるように再編されていった。
 1971年に環境庁、1974年に国土庁が設立され、公害問題の防止、国土計画をはじめ、都市計画、環境、経済問題を総合的に推進する受託業務が発生し、それに応じた室体制が整えられ、同時に電子計算機部門を独立した(株)IBSデータセンター(現在:(株)ライテック)が設置された。
 さらに、国鉄が民営化され、JRグループと清算事業団に分割されると新都市拠点整備事業が開始され、いくつかの地区の計画調査を受託するとともに、所謂バブル経済の下、自治体レベルでの都市開発、整備調査が多くなり、同時に民間開発プロジェクトも増えてきた。これに対応し、研究所も代々木から市ヶ谷へ移転(1986年)、当財団も総務省および建設省の共管団体となり(1989年)、また創立30周年を迎えIBSフェローシップを創設した(1994年)。
 20世紀から21世紀に入ると、地方分権化、省庁再編の気運が高まり、2001年に国土交通省が設立された。この頃から従来の道路事業、都市計画事業への批判が強まり、計画立案プロセスの妥当性、事業遂行プロセス等への住民参加問題が顕在化してきた。これに対し、パブリック・インボルブメントプロセスの導入、大都市における大規模開発関連地区交通計画マニュアル等の業務を行ってきた。
 さらに、道路財源問題、ガソリン税の無駄遣いが国会でも大きな課題となり、2008年に一般財源化されると同時に、道路関連業務執行改革の要請を受け、受託額が大幅に減少するとともに、国においては随意契約から企画競争による契約方式へと変更され、当財団もそれに対応するよう組織の大幅な改革を行わざるをえなくなった。同じ頃より、各種のビッグデータが発生し、その利活用が大きな課題となってきた。また、特例民法法人の改革も迫られ、当財団は2011年に国土交通大臣よりの強い要請もあり、一般財団へと移行し現在に至っている。
 一般財団法人になるに当たり、当財団が国・地方公共団体の政策立案をサポートする業務を大きな柱として、公益性、中立性の高い財団とするため、定款で公益性の高い一般財団法人とすることを決めた。同時に特例民法法人時の正味財産を公益事業で社会に還元するため、総合都市交通計画調査、モビリティ・マネジメント調査に関する技術講習会、IAESTE(国際学生技術研修協会、外国人学生受入れ)等を毎年実施し、約15~20年間続けることとした。
 今後の方向としては、科学的アプローチ、計量的手法を用いて、個々の専門性、自主性、社会性を高めながらキャリア形成を育むと共に、クライアントの政策パートナーとしての役割を果たすため、環境・低炭素、交通・生活、社会資本、都市・まちづくり、産業経済・交流の調査研究テーマを柱に、今後も活動を進めていきたいと考えている。
 現在、わが国は世界的に少子高齢社会のトップランナーとなっており、その在り方が国際的に注目されている。しかし、わが国の制度は右肩上がりの社会時代のままで、これを微修正しながら対応しようとしている。また、阪神淡路大震災、東日本大震災を受け、近未来には東南海トラフ震災も想定されており、今後の少子高齢社会における「安全安心な生活環境」とは何かが問われている。
 これらは行政のみならず、民間とも協働していかなくてはならず、このためには産・官・学に加えて、住民も巻き込んだ総合的施策の実施が不可避であり、IBSの活動もその中で力強く位置付けていきたいと考えている。