『夜の経済学』は、夜の市場をエコノミストが社会科学的手法でデータ分析した、男なら興味がないとは言わせない一冊。
《目次》
飯田泰之/荻上チキ
本著は経済学者の飯田泰之と、何を専門にして仕事しているかわからないが東大の情報学系の学府を修了した荻上チキの共著である。
二人は「シノドス」というメディアを立ち上げた仲だ。
NHKの討論番組にPLANETSの宇野さんとか、哲学者の萱野さんとかと共演していた印象が強い。「ニッポンのジレンマ」だけだろうか?他にも当時NHKの討論番組でよく目にした気がする。
番組で共演するから仲良くなるのか、仲が良いからツテで共演するのか。そういったタマゴが先かニワトリが先か論はともかく、結果としてテレビや雑誌で同時に見かけることの多いコミュニティの人たちだ。
『ヤバい経済学』のパロディ
タイトルもブックデザインも、明らかに『ヤバい経済学』のパロディだ。
【ヤバい経済学】kindle4月セール!読んでない人は読まなきゃ損 - 引用書店
実際、本のなかでも同書をリスペクトしたり、インスパイアされて「データから“おっ!”とか“へー”とか言ってもらおう」というのが主旨だとはっきり書いている。掲載されたデータ量でいったら本家を凌ぐほど。
データで語られる夜の市場
推計稼働店舗数 およそ一万店舗
一店舗あたり推計在籍人数 29人前後
つまり、業界の働き手は約30万人いる。全員が20代だと仮定すると、20代女性全体が700万人弱なので、4%ちょいぐらいか(実際の年齢幅はもう少し広いだろうが)。多いような少ないような。
というように、夜の市場をデータで語っている本だ。上記のデータを出すだけでも、在世人数を5人刻みでウェブサイトから集計してといった地道な作業、外れ値に引っ張られないように中央値で語るという統計学の作法も忘れず割り出している。
夜の市場だけでなく、他にも「彼氏・彼女有の確率を高める(低める)要因」「童貞・処女の確率を高める(低める)要因」などをオッズ比や有意水準とともに分析している。
「ホンマでっか!?TV」の門倉貴史は凄い人
ところで、本著でもデータが引用されたりしているのだが、さんまさんの「ホンマでっか!?TV」に出ている門倉先生は裏社会経済学の泰斗である。
著書の数は膨大で、Wikipediaで数えてみたらざっと40冊以上!
「ホンマでっか!?TV」の出演者は門倉先生以外も、その分野では著名で、専門の学会会場で見かけたら頭のあがらない大御所ばかり。実際、僕の専門分野のバイオ・医学関連の先生が出ていたときは「え!学会で座長とかしてるあの先生、こんな番組出ていいのか!?」と結構驚いた。