熊本城の石垣6カ所崩落 重文の長塀にも被害
熊本県内を中心に激しい揺れを観測した熊本地震から一夜明けた15日、避難所や屋外などで眠れぬ夜を過ごした被災者らは疲れ切った様子で不安を口にした。震度7を記録した同県益城町などでは地震後に火災や家屋の倒壊が相次ぎ、断続的な余震に見舞われながら夜を徹して懸命の救出作業が続いた。
熊本城(熊本市中央区)では、急勾配の造形が美しく「武者返し」の名で親しまれている国特別史跡の石垣が6カ所で崩落するなど損壊が相次いだ。
国重要文化財の周囲の長塀が半分ほど約100メートルにわたって倒壊し、平櫓(ひらやぐら)も損壊。天守閣の瓦も落下した。熊本城総合事務所によると、被害の大きい石垣は高さ約10メートル、幅約10メートルにわたって崩壊し、直径1メートルほどの石が道路に転げ落ちている。熊本城に通じる付近の道路は進入禁止となった。
総合事務所は「長い歴史の中で、これほど石垣が崩れた被害は聞いたことがない。余震で石垣に亀裂が入り、再び崩れる可能性もある。復旧するには相当の時間がかかるだろう」としている。【出口絢】