通信販売広告について
販売業者等がその広告に基づき通信手段により申込みを受ける意思が明らかであり、かつ、消費者がその表示により購入の申込みをすることができるものであれば、ここにいう「広告」に該当します。広告に通信販売を行うことが明確に表示されている場合のほか、たとえば、送料、口座番号等を表示している販売広告や明らかに店舗での購入が不可能な商品の販売広告がこれに当たります。 広告媒体は問いませんので、新聞、雑誌等に掲載される広告だけではなく、カタログ等のダイレクトメール、テレビ放映、折込みちらし、インターネット上のホームページ、インターネット・オークションサイト、パソコン通信、電子メール等において表示される広告も含まれることとなります。 なお、電子メールやインターネット上のバナー等により広告をする場合は、その本文及び本文中でURLを表示すること等により紹介しているサイト(リンク先)を一体として広告とみなします。したがって、電子メールやバナー等の本文中では商品等の紹介を一切行わずにURLのみ表示している場合であっても、そのリンク先で通信販売の販売条件等の広告をしている場合は、その電子メールやバナー等は通信販売の広告に該当します。また、電子メールやバナー等の本文中で商品等の紹介を行う場合、特に表示場所が限定されていない表示事項については、本文、リンク先のいずれに表示してもよいこととなります(ただし、リンク先が見つかりにくい場所に表示されていたり、そのリンク箇所に何が記載されているのかが、リンク元において不明瞭な場合等は、ここでいう広告義務が満たされていないと解されます。)。 「販売価格(役務の対価)」については、基本的に当該商品等そのものの販売価格や当該役務そのものの対価を記載することとなります(「役務(えきむ)」とは、いわゆるサービスのことです)。 販売業者等が消費者から消費税を徴収する場合には、消費税を含んだ価格を意味するものとなります。 販売価格に商品の送料が含まれていないときには、送料を別に表示しなければならず、販売価格のみ表示されている場合には、送料はその中に含まれているものと推定されることとなります(「権利」と「役務」については、送料という概念がないため、規定されていません)。 なお、商品の送料を表示するときには、金額で表示しなければなりません。これは、送料の表示について「送料実費」等の表示ではなく、金額表示を行うことにより購入者の負担する費用を明確化するためです。 [適切な表示例] 1. (1) 全国一律の場合には、下記のような表示が認められます。 「全国一律○○円」 2. すべての地域について表示する場合には、下記のような表示が認められます。 「○○円(北海道) ○○円(北東北)」 ○○円(南東北) ・・・ ○○円(沖縄)」 3. 発送元地域と重量、サイズ等について明確にしたうえで、利用する運送会社の料金表のページにリンクを貼ることも認められます。 [不適切な表示例] 1. 「送料実費」 金額を記載しなくてはなりません。 2. 「○○運輸○○円?」 最低金額に加え、最高金額の記載が必要です。 3. 「送料についてはhttp://www.○○○を参照」 送料を参照するための記載はありますが、リンクされていませんので、リンク できることが求められます。 4. 「○○運送、△△運送、□□運送、◇◇運送のうち、○○運送については、送料○○円」 運送会社ごとに送料を明確に記載するか、各運送会社のホームページの料金表のページにリンクさせるように記載することが求められます。 ただし、広告の態様は千差万別で、そのスペースは大小さまざまです。一方、送料は地域別、重量別に細かく定められているのが通例ですので、すべての場合を広告に表示させることは、実態にそぐわないこともあります。したがって広告スペースが不足している場合には、購入者が自ら負担すべき送料についておよその目途を立てうる表示として、たとえば、最高送料と最低送料、平均送料、送料の数例等の表示も認められます。 ただし、広告スペースが不足している場合においても、上記のような表示に加えて、消費者からの請求があった場合には、書面または電子メール等の方法によって、遅滞なく、送料に関する詳細な金額等の情報を提供することが望ましいと考えられます。 [表示例] 1. 最低送料と最高送料の表示の場合には、下記のような表示が認められます。 「送料○○円(東京)○○円(沖縄)」 2. 下記のように平均送料の表示も認められます。 「送料○○円(約○○%の範囲内で地域により異なります。)」 3. 数例の表示の場合には、下記のような表示が認められます。 「送料 ○○円(東 京) ○○円(大 阪) ○○円(鹿児島)」 Q&Aリンク 販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときには、その内容およびその額 消費者が負担するのが当然な負担以外の負担を消費者に求める場合には、それをすべて金額で表示することが必要となります。たとえば、工事費、組立費、設置費、梱包料、代金引換手数料等です。表示例としては、以下のようなものが考えられます。 [適切な表示例] 1. 「販売価格 ○○円 送 料 全国一律 ○○円 工 事 費 ○○円 梱 包 料 ○○円」 2. 「販売価格 ○○円(送料を含む) 工事費・梱包料 ○○円」 3. 「販売価格 ○○円(送料を含む) 代引手数料 ○○円 梱 包 料 ○○円 保 険 料 ○○円」 4. そのほか、たとえばキャンセル料がある場合には、「キャンセル料は価格の○○%です」と表示することが適切です。 [不適切な表示例] 1. 「常識程度の梱包料をいただきます。」 「梱包手数料」 金額を記載することが必要です。 Q&Aリンク 代金の支払い方法をすべて表示することが必要です。ほかの支払い方法があるにもかかわらず、一部の支払い方法しか記載しないようなことは認められません。表示例としては、以下のようなものが考えられます。 [表示例] 1. 「代金引換(商品代引)、クレジット決済、銀行振込(前払い)、現金書留 (前払い) 」 代金(対価)の支払い時期 、商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期) 代金の支払い時期とは、消費者が商品等を購入する場合に代金を支払う時期をいいます。 商品の引渡時期とは、消費者からの注文を受けた後に、商品が消費者の元に届く時期をいいます。 商品の引渡時期については、期間または期限を表示することが必要です。とくに前払式の通信販売の場合には、申し込んでいつ商品が引渡されるかわからないと購入者の地位が不安定になるので、明確に表示しなければなりません。 [適切な表示例] 1. 前払式の場合には、下記のような表示が認められます。 「代金入金確認次第、すみやかに商品を発送します。」 「代金入金確認後、○○日以内に発送します。」 2. クレジットカード決済の場合には、下記のような表示が認められます。 「クレジットカード利用の承認が下りた後、○○日以内に発送します。」 3. 代金引換式の場合には、下記のような表示が認められます。 「お客様のご指定日に発送します。商品到着時に、運送会社の方に代金をお支払いください。」 4. 後払式の場合には、下記のような表示が認められます。 「商品到着後、同封の振込用紙にて一週間以内にお振込みください。」 5. エスクローサービス利用の場合には、下記のような表示が認められます。 6. 「エスクローサービス」とは、たとえばインターネット・オークションにおいて、出品者と落札者のあいだに専門の会社が入って、代金と商品を流通させるサービスのことです。 7. 利用するエスクローサービスの提供会社、個別のサービスの種類等を明確 にしたうえで、利用するサービス会社の支払い時期・商品引渡時期についての 説明のページにリンクを貼ることが認められます。 [不適切な表示例] 1. 「入金確認前後に週3回程、発送します」 支払い時期および発送時期について明確にすることが必要です。 「オークション終了時に発送します。」 発送についての記載しかないので、支払い時期についても明確に記載する ことが必要です。 2. 「銀行振込の確認後に商品を発送します」 発送時期について明確にされていません。 「クレジットカード利用の承認が下りた後、発送はできるだけ早急に行います」 「できるだけ」という表現は時期を明確にしたことにはなりません。 Q&Aリンク 商品(指定権利)の売買契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(返品の特約がある場合はその旨含む。) 商品に隠れた瑕疵(一見しただけではわからない不具合)がある場合に、販売業者の責任についての定めがあるときには、その内容 これらは商品または権利の返品に関する事項です。返品の特約(商品に瑕疵がなく、販売業者に契約違反のない状態において返品を認めるとする特約)については、返品を認めるか否か、その際の条件は何か、送料の負担の有無等を広告に明示することが必要です。 また、商品に瑕疵がある場合の販売業者の瑕疵担保責任について特約する場合には、そのことを表示する必要があります。 瑕疵担保責任について特約しない場合には、民法の一般原則に従うことになります。なお、隠れた瑕疵があるとき、当該瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部を免除する条項は、消費者契約法第8条第1項第5号によって無効とされます(同条第2項第1号または第2号により、瑕疵のない物と交換したり、修補したりする責任を負うこととされている場合等は除きます)。 [適切な表示例] 1. 瑕疵のない商品の 返品特約がある場合には、下記のような表示が認められます。 「商品に欠陥がない場合であっても、全ての商品について○○日間に限り、返品に応じます。送料は、商品に欠陥がある場合には当方が負担しますが、そうでない場合には、購入者負担といたします」 「商品に欠陥がある場合には送料当方負担で返品を受け付けます。また、 商品に欠陥がない場合であっても、全ての商品について○○日間に限り返品に応じ、送料は当方が負担いたします」 2. 瑕疵のない商品の返品特約がない場合には、下記のような表示が認められます。 「商品に欠陥がある場合を除き、返品には応じません」 「不良品の場合には返品を受け付けますが、商品に欠陥がない場合には、返品に応じません」 [不適切な表示例] 1. 「商品到着後10日間の初期不良については、返品・返金にて対応します」 瑕疵がない場合の返品の可否についても明確に記載することが必要です。 2. 「ノークレーム・ノーリターン」 「返品不可」 瑕疵がない場合の返品の可否についてのものかどうかを明確にする必要があります。 3. 「商品に欠陥がない場合の返品についてはその都度ご相談に応じます」 具体的にどのような場合であれば返品に応じるのかが不明確であることから、たとえば、以下のAまたはBのように、返品に応じる場合を明確に表示することが必要です。 A:返品に応じる場合の例示(数例)および応じない場合の例示(数例) B:たとえば「○○の場合以外は返品に応じます」というように、返品に応じない場合を除外例として示し、それ以外の場合には返品に応じることを表示する。 Q&Aリンク 個人事業者の場合には、氏名または登記された商号、住所および電話番号を表示する必要があります。また法人の場合には、名称、住所および電話番号(さらに、インターネットで広告を行う場合には、代表者の氏名または通信販売の業務の責任者の氏名。次項参照。)を表示する必要があります。 「氏名(名称)」については、個人事業者の場合には、戸籍上の氏名または商業登記簿に記載された商号を、法人の場合には、登記簿上の名称を記載することを必要とし、通称や屋号、サイト名は認められません。「住所」については、個人事業者、法人いずれにおいても、現に活動している住所(法人の場合には、通常、登記簿上の住所と同じと考えられる)を正確に記載する必要があります。「電話番号」については確実に連絡を取れる番号を記載することが必要です。 なお、これらの事項は、事業者の属性に関するものであることから、広告中には、消費者が容易に認識することができるような文字の大きさ・方法で、容易に認識できるような場所に記載しなければなりません。 また、これらの事項は、広告の冒頭部分から容易に記載箇所への到達が可能となるような方法で表示されるべきであり、たとえば、インターネット上のホームページにおいて、広告をする画面上に、これらの事項が記載されていることが容易に判断できる表現(「特定商取引法に基づく表記」、「会社概要」等)により、リンクや画面切り替えのためのタブが用意されている場合には、「冒頭部分から容易に記載箇所への到達が可能となるような方法」に該当します。しかし、たとえばインターネット・オークションにおいて、当該オークションシステム内にこれらの事項を記載可能であるにもかかわらず、当該システム外の自己のホームページへのリンクを貼り、その中で記載しているような場合には、通常は「冒頭部分から容易に記載箇所への到達が可能となるような方法」に該当しません。 [適切な表示例] 1. 株式会社の場合には、下記のような表示が認められます。 「名称 株式会社○○○○ 代表者 ○○ ○○ 住所 ○○県△△市□□区◇◇ ××× 電話番号 ○○○-○○○-○○○○」 2. 個人事業者の場合には、下記のような表示が認められます。 「氏名 ○○ ○○ 住所 ○○県△△市□□区◇◇ ××× 電話番号 ○○○-○○○-○○○○」 [不適切な表示例] 1. (1) 通称や、商業登記されていない屋号のみを表示することは認められません。個人事業者の場合には、戸籍上の氏名または商業登記に記載された商号を記載することが必要です。 2. (2) 住所の番地が省略されているような不正確な表示も認められません。住所の番地を一部省略するような記載をせず、正確に記載することが必要です。 3. (3) 現に活動していない私書箱等の住所のみを表示することも認められません。 Q&Aリンク 事業者が法人であって、電子情報処理組織を使用する方法により広告をする場合には、当該販売業者等の代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名 「電子情報処理組織を使用する方法」とは、インターネット上のホームページ、パソコン通信、電子メール等を利用した広告を意味します。また、「通信販売に関する業務の責任者」とは、通信販売に関する業務の担当役員や担当部長等実務を担当する者の中での責任者を指すものであり、必ずしも代表権を持たなくてもかまいません。 また、インターネット上のホームページ等パソコン画面上等の広告では、特定商取引法に定める広告事項のすべてを確認するには画面のスクロールや画面の切替えを必要とせずにすむよう記載することが望ましいのですが、とくにこれらの事項については、画面上に広告の冒頭部分を表示したときに認識することができるよう記載することが必要です。 ただし、やむを得ず、冒頭部分への記載を行うことができないときには、冒頭部分から容易に記載箇所への到達が可能となるような方法や契約の申込みのための画面に到達するにはこれらの事項を記載した画面を経由するような方法をあらかじめ講ずることが必要です。 たとえば、インターネット上のホームページにおいて、広告をする画面上に、事業者の氏名(名称)・住所・電話番号・通信販売に関する業務の責任者の氏名が記載されていることが容易に判断できる表現(「特定商取引法に基づく表記」、「会社概要」等)によりリンクや画面切り替えのためのタブが用意されている場合には、「冒頭部分から容易に記載箇所への到達が可能となるような方法」に該当しますが、インターネット・オークションにおいて、当該オークションシステム内に事業者の氏名(名称)・住所・電話番号・通信販売に関する業務の責任者の氏名を記載可能であるにもかかわらず、当該システム外の自己のホームページへのリンクを貼り、その中で記載しているような場合には、通常は「冒頭部分から容易に記載箇所への到達が可能となるような方法」に該当しません。 いわゆるソフトウェアに係る取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境 いわゆるソフトウェアに関する取引を行う場合には、当該ソフトウェアの動作環境(ソフトウェアを使用できるOSの種類、CPUの種類、メモリの容量、ハードディスクの空き容量等)についての情報を事前に入手できることが不可欠であり、通信販売において、ソフトウェアにかわわる取引の広告を行う際には、その動作環境の表示が義務づけられています。 具体的には、プログラム等のソフトウェアを利用するために必要な電子計算機の動作環境(OSの種類、CPUの種類、メモリの容量、ハードディスクの空き容量等)を表示しなければなりません。
他の取引類型の規制内容のページはこちらから |