2016年4月14日05時00分
いじめを防ぐにはどうすればいいか。「道徳心を培う」など心の持ちようではなく、教員の指導のあり方など教室を取り巻く環境に着目し、いじめの発生要因を取り除こうという動きがある。
■評論家・荻上チキさん
教室にどのくらいストレスの要因があるかで、いじめの発生確率は異なるという説が最近、語られています。早期発見し、解決につなげる議論に比べて低調だったいじめの未然防止を考えるうえで、重要な視点です。
ストレス要因の一つが教員の振る舞い。体罰をする教員の下ではいじめが起きやすい。問題のある子は懲らしめていい、というメッセージを発してしまうからです。服装や髪形指導も厳しいほどストレスがたまります。トラブルを見て見ないふりをすることで、いじめてもセーフだという感覚を子どもが持つこともあります。小さないじめが積み上げられていくと、どんどん長期化、深刻化します。いじめが起きやすい「不機嫌な教室」から、ストレス要因を取り払うことがまずは大事です。それにとどまらず、だれもがより居心地の良い「ご機嫌な教室」にどう変えていくかを問題提起しています。
たとえば教員の複数担任制。授業は1人が進行し、もう1人は不測の事態に備える。外国人、発達障害の子なども過ごしやすい教室づくりが重要。個人のニーズに配慮し、授業についていけない子は教員が脇で支える。今の人員配置や授業のやり方を総合的に見直す必要があります。
いじめ対策法だけでなく、発達障害者支援法が施行されました。性的少数者の子どもへの支援や、不登校を法律で認めようという動きも出てきました。教室はもっとご機嫌なものに変えられると思います。
(聞き手・片山健志)
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おぎうえ・ちき 1981年、兵庫県生まれ。「ストップいじめ!ナビ」代表理事。電子マガジン「シノドス」編集長。著書に「ネットいじめ」など。TBSラジオ「荻上チキ・Session22」でパーソナリティーも務める。
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