「会長指示320万円」 田母神容疑者関与か
2014年の東京都知事選を巡り、元航空幕僚長、田母神(たもがみ)俊雄容疑者(67)らが逮捕された公職選挙法違反(運動員買収)事件で、現金の配布先と金額をまとめたリストに「会長指示320万円」との記載があったことが関係者への取材で分かった。資金管理団体の代表者(会長)だった元空幕長の指示で現金が配布されたことを示している疑いがあり、東京地検特捜部もリストの作成経緯を詳しく調べるとみられる。
関係者によると、知事選後、選挙対策事務局長だった島本順光(のぶてる)容疑者(69)=同法違反容疑で逮捕=が「みんなよくやってくれたので、お礼がしたい」と提案し、貢献度に応じた現金配布リストが作られた。リストには数十人の氏名と計2000万円分の配布額が記載されていた。
元事務局長が作ったものや、会計責任者が手を加えたものなど複数のリストが作成され、このうちの一つに「自衛隊関係 会長指示320万円」との記載があったという。当時、複数の元自衛官らが選挙を支援していたといい、元空幕長が代表を務める資金管理団体「東京を守り育てる都民の会(現・田母神としおの会)」の資金から自衛隊関係者へ現金を配る趣旨の記述とみられる。
元空幕長は、逮捕前の毎日新聞の取材に対し、陣営内で現金が配布されたことは認めたものの「後になって知った。了承していなかった」と自身の関与を否定。「会長指示」という記載についても「全く知らない」と話していた。
田母神元空幕長は、14年3月中旬ごろ、選挙運動の報酬として、島本元事務局長に200万円を支払ったなどとされるほか、島本元事務局長らと共謀して同3月中旬〜5月上旬、運動員だった5人に対し、投票を呼びかけた報酬として計280万円を供与した疑いで逮捕された。【飯田憲、小林洋子】