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田母神容疑者 会計のずさんさに驚く

 2014年2月の東京都知事選で、無所属でありながら61万票余を集め注目された元航空幕僚長、田母神(たもがみ)俊雄容疑者が、公職選挙法違反(運動員買収)の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。

     極端な右派的言動が目立つ田母神容疑者は、知事選で特に若い世代へ浸透したと分析されている。

     逮捕容疑である選挙運動の報酬としての買収は選挙後だ。事後というところに事件の特徴がある。

     田母神容疑者をめぐっては、同年1月に設立された資金管理団体の多額の使徒不明金が問題になっている。団体には、知事選前の1、2月に支援者の寄付が集中したという。

     買収資金は、そうした寄付が出所とみられている。田母神容疑者は否認しているが、容疑が事実とすれば、政治活動を支えようとした支持者への裏切りだ。特捜部は、事件の全容を解明してもらいたい。

     異色の経歴だ。田母神容疑者は、空幕長だった08年、日中戦争などについて「我が国が侵略国家だったなどというのはぬれぎぬだ」と主張する論文を発表し、政府の歴史認識に反するとして更迭された。

     その後自衛隊を退職し、評論家として活動した。安倍晋三首相が12年9月、再起を期して野党・自民党の総裁に就いた時には、安倍政権誕生を求める民間人有志の会の発起人に名を連ねた。

     知事選出馬時は、当時日本維新の会共同代表だった石原慎太郎元知事の全面支援を受けた。戦後の歴史教育を自虐史観と批判し、原発推進や公共工事による景気浮揚を訴えた。

     インターネットも利用し、若い世代に支持を拡大した。その後、14年12月の衆院選にも出馬し、政治への意欲を見せた。

     保守派論客として知名度を上げた一方で、金をめぐっては、ずさんな実態が明らかになった。

     逮捕容疑の公選法違反事件について田母神容疑者は「私は指示も了承もしていない」と、関与を否定してきた。だが、田母神容疑者が現金配布を「了解した」と発言する様子がビデオに記録されているとされる。一部の人に対し、現金が配られたことも認めた。候補者としての認識の甘さは否定できまい。

     資金管理団体の14年の政治資金収支報告書では、1億3300万円の収入のうち、約5054万円を使途不明として計上している。

     田母神容疑者は、元会計責任者が横領したとして刑事告訴したが、田母神容疑者個人の流用があると指摘する元選対幹部もいる。

     政治資金には、高い透明性が求められる。田母神容疑者は資金管理団体の代表だ。その責任は大きい。

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