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 カジュアル衣料「ユニクロ」などを展開するファーストリテイリングが苦しんでいる。7日に発表した2016年2月中間決算は、値上げによる客離れに、暖冬による冬物の不振も重なり、前年同期よりも大幅に利益を減らした。価格戦略の見直しも迫られている。

 「今期の業績は不合格で30点」。この日の記者会見で柳井正社長は終始、厳しい表情だった。2月中間期は、売上高が1兆116億円で前年同期から6・5%増えたものの、営業利益が33・8%減の993億円と落ち込んだためだ。

 業績の足を引っ張ったのが国内ユニクロの不振だ。2月末で844店あるうち既存店売上高は1・9%減、客数は6・3%減だった。

 ユニクロはこの2年間、コスト増などを理由に秋冬物の値上げを実施。品質の良さで顧客を引きつける狙いだったが、昨年12月まで7カ月連続で客数が前年同月を下回るなど、客離れを招いてしまった。暖冬による冬物商品の苦戦も追い打ちをかけた。

 柳井社長は、不振の原因が値上げにもあると認めた上で「抜本的に価格を見直し、1990円や2990円など単純で買いやすい価格に戻したい」と語った。

 ユニクロではこれまで、週末を挟む金曜~月曜にセールを実施するのが恒例だった。だが、2月中旬からはセールの品目や頻度を減らす一方で、一部商品で通常価格の値下げに踏み切った。チノパン、ポロシャツ、パーカといった商品棚に「平日も週末も、毎日お買い求めやすい価格に見直しました」と記した札を掲げるなどして値下げをアピールしている。

 一方、売上高の増加を支えたのが海外ユニクロだ。店舗数は2月末で890店に達し、15年8月末から92店増やした。この結果、海外ユニクロ全店の売上高は12・7%増だった。ただ、暖冬の影響などで営業利益は減った。

 ファーストリテイリングの16年8月期の業績予想は売上高は1兆8千億円で変えず、営業利益は1800億円から1200億円に引き下げた。これまで伸ばしてきた営業利益は、5期ぶりの低水準になりそうだ。(奥田貫)