【GOLF、今この人に聞きたい!】 第12回:上杉隆さん

思いどおりにならないからゴルフは楽しい


 問題解決のために行動に出るという上杉さんのスタイルは、若いころから発揮されている。例えば大学時代、住むところもないほどお金がなかった。しかし、どうしてもゴルフがしたかった。そこで「住み込みで働くから空き時間にゴルフコースを回らせてほしい」と富士屋ホテルの門をたたいた。しかし答えはノー。富士屋ホテルではサービスに従事するのは正社員のみというルールで、学生アルバイトは雇っていないというのが理由だった。しかし、しつこく何度も通うと、ついにある日、支配人室に通された。

 「うちの社員が大学にも通っている、ということにしよう」。

 実はこの取材の前日には東京都アマの予選会に出場していた。大雨で強風のコンディションで、スコアはボロボロだったが、他のプレーヤーもスコアが伸びなかったらしく、予選通過を果たした。これほどまでにのめり込むゴルフの魅力を尋ねてみよう。

 「思いどおりにならないからですよ。思いどおりになることだったら多分やってないですよ」

 上杉さんはキャスターおよびコメンテーターとして、この6年間で16番組を降ろされたという。テレビに出たいだけなら無難な発言だけをしていればよい。しかし、しっかり取材して違う見方を提示したほうが視聴者にとっては何倍も面白い。日本人全員同じ意見というのはあり得ない。実際に電通の視聴率調査では高い評価を得ていた。しかし、上杉さんの意見は番組の流れと違ってしまうことがあり、それはテレビ局にとっては好ましくない。だから、自分のメディアを作ったのだ、と上杉さんは話す。

 「誰でもできることは面白くないですよ。30センチのパットをずっと打っていても面白くないでしょう。やっぱりゴルフでも仕事でも、何年やっても思いどおりにならない困難なものが魅力ですね」
 テレビで話す姿やメディアでの発言から、上杉さんは怖い人なのでは……と恐る恐る事務所に伺ったのだが、その先入観は見事に覆された。しかし、気さくな雰囲気でありながら、放たれるショットはすべて真っすぐピンに向かっている。上杉さんが推進するさまざまな取り組みが、思いどおりになる日へと向かって。

上杉 隆さん(うえすぎ・たかし)
1968年5月3日生まれ、東京都出身。大学卒業後は議員秘書やニューヨークタイムズ東京支局の取材記者、ニュースキャスターなどで活躍。2012年に株式会社NOBORDERを設立。新メディア『ニューズ・オプエド』でプロデューサーおよびアンカーを、東京メトロポリタンテレビ『淳と隆の週刊リテラシー』でキャスターを務めている。ゴルフのベストスコアは71。得意クラブはパター。

松山英樹が初めて添えた言葉東日本大震災が起こった年、ボランティアに行こうか出場しようか迷いながら出場したマスターズでベストアマを取った松山選手が、サインに加えて「頑張りましょう。東日本!!」と言葉を添えてくれた(右上)。他、左上から反時計回りに孫正義さん、中畑清さん、堀江貴文さんのサイン。


週刊パーゴルフ(2016年4月5日号)掲載 / 写真・西村彩子

スペシャル最新記事一覧

Pargolf Members

すでに会員の方はこちら

最新トピックス

アクセスランキング

ツアー・トーナメント

フォトギャラリー

トーナメントプロ公式サイト・ブログ