【GOLF、今この人に聞きたい!】 第12回:上杉隆さん





特別連載 第12回株式会社NOBORDER代表取締役/ジャーナリスト
上杉隆さん
「30センチのショートパットをずーっと打ってても面白くないでしょ」
【聞き手】
山崎将志氏
(やまざき・まさし)
1971年生まれ、愛知県岡崎市出身。ビジネスコンサルタント。94年に東京大学経済学部経営学科を卒業。同年アクセンチュア入社。2003年に独立後、アジルパートナーズ、カジタクなど数社のベンチャー企業を開発。10年4月に出版された『残念な人の思考法』(日本経済新聞出版社)が34万部のベストセラーとなり、著書累計発行部数は100万部を超える。最新のハンディキャップは7.5




 今回のゲストはジャーナリストの上杉隆さん。アマチュアとしてプレーするだけでなく、ゴルフ関連の書籍を出版したり、ゴルフ雑誌に頻繁に登場するなど、ゴルフに関する発言も多い。最近では「日本ゴルフ改革会議」の事務局長としてもゴルフ界の改革に奔走している。

 移転したばかりの新しい事務所に入ると、スタッフの皆さんが忙しく駆け回っている。取材終了後に放映される『ニューズ・オプエド』の準備だ。「オプエド」という言葉は聞き慣れない方も多いかもしれない。まずはここからお話を伺ってみよう。

 「オプエドとは英語のopposite editorialの略語です。もともとの意味は一つの新聞記事に対して同じ新聞内で反論や異論を述べる欄のことです」

 『ニューズ・オプエド』は月曜から金曜の16時から17時にネット上で放映される番組。通信社を使わず独自取材のニュースだけを厳選して流す。また毎回ゲストスピーカーが招かれ、当事者に直接聞く話がライブで放送される。2年前に開設後、既に放送回数は400回以上。上杉さんは番組のアンカーを務めるが、経営者とプロデューサーとしての仕事に多くの時間を使っている、と話す。

 ネット配信とはいえメディアを主宰するのは並大抵のことではないし、しかも毎日ライブだ。それでも始めようと考えた動機を尋ねた。

 「日本のジャーナリズムがあまりに元気がないから、自分たちで新しいものを作ろうと考えたからです」

 きっかけは、ある日の飛行機でスポーツライターの玉木正之さんと乗り合わせたこと。玉木さんいわく、日本のスポーツジャーナリズムには健全な批判がない。批判は選手にとってもプラスになることがある。米国には何十年もメジャーリーグの取材をしているジョージ・バーシーというジャーナリストがいる。バーシーは若い選手に痛烈な批判をすることがあるが、常にその指摘は正しく、しかも深い。だから選手も反論できない。こんなふうにメディアと選手がお互いに切磋琢磨すべきだと。

 そこから玉木さんと上杉さんは意気投合し、スポーツだけでなく、政治・経済の領域でも多様性の担保されたジャーナリズムをやろう、というところで『オプエド』は始まった。

 確かに、日本のプロ野球のヒーローインタビューでは「球場に来ている奥さんにひと言」レベルの質問ばかりだし、つい先ごろも女子サッカーの佐々木則夫監督がメディアに苦言を呈したのも記憶に新しい。では、海外での報道は具体的にどうなっているのか。

 「宮里藍選手が米国のプロテストにトップ合格したときのことです。日本のメディアの報道は『宮里藍、全米が大興奮』という感じでした」

 ゴルフメディアだけでなく、一般メディアも同じ論調。実際は単に日本人記者が大騒ぎして、100人規模で米フロリダ州にある片田舎のデイトナビーチまで乗り込んでいただけの話。新人がプロテストでトップ合格するなど、特に珍しいことではない。実際に米国のメディアをチェックすると、「日本人がデイトナビーチに大集合!一人の女の子をめぐって大騒動」だった。上杉さんはため息をつく。

 「ニュースを取り上げる視点がまったく違うんです」

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