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【現代の】江戸時代の性風俗マンガ「浮世艶草子」がとっても面白い【春画】

雑記

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昨年、東京の永青文庫で開催され、怒濤の盛況を見せた「春画展」。ついこの間まで京都の細見美術館でも開催していて、これまた連日、長蛇の行列をつくっていました。展示期間終了間際に見に行きましたが、ものスゴい人でしたねー。

 

shunga.emuseum.or.jp

 

さてさて「春画って面白い!」ビックウェーブがきているうちに、春画展と同じくらいに江戸の性風俗事情が楽しめる、とあるマンガをご紹介したいと思います。

 

浮世艶草子』という作品です。

 

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江戸の頃を中心に、戦国〜明治初期くらいまでの時代を舞台にした1話完結型のエッチな読み切りマンガ。

 

まーこれがヒジョーに面白いのなんのって。

 

作画は「本当にあったHな体験教えます」などを描かれている八月薫氏ゆえ、情事のシーンはしっかり色っぽいんですが、当時のおおらかな性事情が、カジュアルかつ丁寧にストーリーに盛り込まれているので、時代物マンガとして楽しめます。「へぇえ〜」と関心するシーンも少なくありません。

 

たとえば1巻の第1話は、輿入れを目前にした武家のお姫様が、ばあやの手ほどきを受けて初夜の練習をするという内容。

 

来たるXデーに向けて、ばあやが姫様に閨でのアレコレを指南するのですが、そのアドバイザーっぷりがスゴい。「いつまでもウブなふりをしていると飽きられるから、殿のナニを手やら口で奮い立たせろ」とか「コトが終わって殿が賢者タイムに入ったら、頃合いを見て布団から出ろ」とか……。

 

至らぬところでは「なりませぬぞ姫様!」と叱責し、頑張ってご奉仕(練習)しているときには「天晴れでございまするぞ!」と誉め称える、実に緩急織り交ぜたピッチングを繰り出すばあや。

 

いかにして殿の寵愛を受け、数多く床を共にするか。当時の女の戦いを想像すれば、こうした性行為の練習もあって当然だと思いますが、ばあやの教官っぷりと、言われるがままとにかく頑張る姫が面白かわいくて笑ってしまう……。

 

ちなみに、性の指南書として春画も登場します。世継ぎを生むことが武家の娘にとって再重要項目だった時代においては、春画は教科書であり、武家の嫁入り道具のひとつ。絵師にオーダーメイドで描かせ、彩色には金泥や箔などをふんだんに使うなど、それはそれは高級なものだったそうです。

 

春画展でも、徳川家が狩野派の絵師に描かせた春画が展示されていましたね。

 

ストーリー本体だけでも読み込んじゃうのに、諸処に差し込まれる神の目目線の解説がトリビアすぎる。なんと島津藩のばあやが書き記した夫婦和合の指南書には「口でするときは、殿方のアレをああしてこうして、出されたら嫌がらずにごっくんしなさい、栄養があるから」と、書かれていたのだとか。

 

島津藩ハンパねえな!

 

他にも、同心が銭湯で出会った女と湯船のなかでしちゃう話や、伊勢志摩の海女ちゃんが村のチンピラに処女を奪われかける話、ねぷた祭りの夜に出会った男女が、森の木陰でドンジャラホイ……な話など、さまざまな時代や地方を舞台にした話が収録されています。

 

4巻では、あの葛飾北斎春画「蛸と海女」をモチーフにしたものも。

 

クスッと笑える愛らしいキャラクターが多いのもすごく好きなところ。覗きをする男が女体に見とれて屋根から落ちたり、初見世の新造がテンパって客の部屋を間違ったり、コミカルな登場人物が練り込まれたストーリーに華を添えています。悪人も時々登場するんですが、基本的にはハッピーエンドで終わるので、読了感も爽やかです。

 

現在7巻までが発売中なので、春画展面白かったなーって人も、昔の性風俗ってどうだったんだろう、と気になる人も、ぜひ一度読んでみては。

 

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個人的には泰次郎と市蔵どんのコンビが好きです。