不動産の重要事項説明書の「都市計画法・建築基準法以外のその他の法令に基づく制限」において「都市再開発法」という項目がある。
どのような不動産が都市再開発法の対象となり、どのような制限を受けるのだろうか。
ここでは、不動産の重要事項説明における都市再開発法について説明する。
都市再開発法とは?
都市再開発法とは、市街地の計画的な再開発に関し必要な事項を定め、都市における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図ることを目的として1969(昭和44年)に制定された。
市街地再開発事業を行うための都市再開発法であり、第1種市街地再開発事業と第2種市街地再開発事業について規定している。この都市再開発法による市街地再開発事業を一般的に法定再開発ともいう。
第1種市街地再開発事業(権利変換方式)
再開発ビル(中高層の施設建築物)を建設し、再開発の区域内の土地・建物等の権利者は、再開発事業前のそれらの権利の額に対応する再開発ビルの床(権利床)及びそれに対応する土地持分を、事業者から取得する。これを権利変換という。権利変換を希望しない者は事業者から権利額に相当する金銭等を受け取ることができる。権利床に加えて余分の床(保留床)を建設し、これを売却することによって事業費を調達する方法が通常とられている。 第2種市街地再開発事業(用地買収方式) 再開発区域内の土地建物を、再開発事業者がいったん買い取って、事業後に入居希望者に再配分する手法。保留床を売却し事業費をまかなう手法は第1種と同じ。区域内の土地建物の権利者のうち希望する者には、買い取る代わりに施設建築物の床を提供する。(第2種は防災上などで緊急性の高い事業について認められ、公共団体が実施するもので、個人や組合施行では不可)再開発事業区域が広いと権利者も多くなり、権利変換までに非常に時間がかかることから、事業者に土地収用の権限を与えているところが第1種と異なる。 |
都市再開発の手法としては、土地区画整理法による土地区画整理事業があるが、地価の高い都市の市街地においては狭小な敷地に様々な権利者が存在しており、土地の減歩等を行う土地区画整理事業を押し進めるのは困難だった。
そこで都市施設整備と併せて、建築敷地を集約して中高層の共同建築物を建設し、その床に関係権利者が権利を移して入居できるように法的支援する制度として、「防災建築街区促進法」(1961年)と「市街地改造法」(1961年)を制定した。それを後でひとつにまとめたものが「都市再開発法」であり、都市計画事業として市街地再開発事業を行うようにしたものだ。そのため都市部における再開発事業は市街地再開発事業(法定再開発)が多い。土地区画整理事業と組み合わさる場合もある。
市街地再開発促進区域とは?
市街化区域内の高度利用地区の区域に定められるのが市街地再開発促進区域である。促進区域が決定されると、区域内の宅地の所有者や借地権者は、高度利用地区の目的を達成するために、共同ビルの建設や、第1種市街地再開発事業の施行等に努めなければならない。また促進区域の決定から5年が経過すると、その区域に関して、市町村が主体となって第1種市街地再開発事業を行うことになる。
促進区域とは、市街地の再開発などを促進するために定められる区域のことで、次の4種類の区域の総称だ。
- 都市再開発法による「市街地再開発促進区域」
- 大都市地域における住宅および住宅地の供給の促進に関する特別措置法による「土地区画整理促進区域」
- 大都市地域における住宅および住宅地の供給の促進に関する特別措置法による「住宅街区整備促進区域」
- 地方拠点都市地域の整備および産業業務施設の再配置の促進に関する法律による「拠点業務市街地整備土地区画整理促進区域」
促進区域では建築を規制し、本来の事業への移行を促す措置が規定されている。
市街地再開発促進区域内で2階建て以下の建築物等の建築をする場合は、原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。また、第1種市街地再開発事業の認可・事業決定の公告があった後は、事業の施行の障害となるおそれのある土地の形質の変更、建築物等の新築・増築等をする場合は、都道府県知事の許可を受けなければならない。なお、第2種市街地再開発事業は必ず都市計画事業として施行されるため、都市計画法65条により同様の制限が適用される。
右の写真は、大阪と京都の中間に位置するJR高槻駅北口に直結する商業施設アクトアモーレとローレルスクエア高槻だ。これは「JR高槻駅北地区市街地再開発促進区域」に指定され、第1種市街地再開発事業で再開発が行われた。
市街地再開発促進区域に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「都市再開発法」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明しなければならない。
なお、国土交通省のHPにおいて市街地再開発促進区域を確認することができるが、変更や廃止、事業完了の可能性があるので役所に確認しなければならない。
再開発等促進区とは?
一体的かつ総合的な市街地の再開発又は開発整備を実施すべき区域として再開発等促進区が定められ、地区計画により建築物の用途、容積率等の制限などを定めている。そのため、地区計画の再開発等促進区域内に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「都市再開発法」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明しなければならない。集落地区計画については以下を参照して欲しい。
なお、国土交通省のHPにおいて地区計画を確認することができるが、変更や廃止がある可能性があるので役所に確認しなければならない。