世論調査には罠がある。2月16日付け朝日新聞で発表された世論調査に関する記事を基にどんな罠があるか考えてみたい。記事によると調査方法の概要は次だ。「無作為に電話をかける方式で全国の有権者を対象に調査した。世帯用と判明した番号は3909件。有効回答は1943人。回答率は50%」。
お分かりだと思うが、調査対象になっているのは固定電話のようだ。また、回答率も50%しかない。固定電話があり、回答する時間がある人といえば、高齢者が多くなると考えられる。年齢により意見に大きな差がない質問であれば問題はないが、年齢により意見が異なる質問では国民全体の世論を反映しない偏った回答が寄せられることになる。
4月4日付け読売新聞によると、携帯しかない世帯が全体の14%に達することが分かったので、同紙は電話で世論調査を実施する際には4月から固定電話に加え携帯電話も対象にしたとしている。しかし、調査に回答する年齢となると、やはり年配者が多くなるのではないだろうか。人口構成を反映した調査になるように実施しなければ世論調査の信頼度は下がることになる。
原子力は嫌われているのか
年齢により回答が異なる質問の代表例が原子力発電に関連するものだ。私の研究室で、昨年11月から12月にかけ静岡県御前崎市の中部電力・浜岡原子力発電所の近隣4市(御前崎市、掛川市、菊川市、牧之原市)にお住まいの人を対象に世論調査を実施した。質問票を4市の約4万軒に発送し約7600通の回答を得たが、回答を戴いた人の53.1%が60歳以上だった。
日本の人口構成では60歳以上は32.6%なので、回答者は高齢者に偏っている。一方、原発の再稼働に関する質問への回答では、再稼働に反対する比率は年齢と共に高くなる傾向がある。私たちの調査でも、20代では、再稼働賛成が16.4%、代替がないなら再稼働やむなしが50.0%、再稼働反対が27.9%だが、再稼働反対の比率は年齢とともに上昇する。60代が最も反対の比率が多くなり、再稼働賛成が10.7%、やむなしが30.3%、反対が55.3%となる。