くすぶる不穏な炎上要素
4月8日、東京オリンピックの新エンブレム、その最終候補4作品が一般公開された。昨年9月に白紙撤回となった前回の佐野研二郎氏のデザインから半年を経た、満を持しての発表である。
おそらく戦後最大のデザイン・スキャンダルとなってしまった前回公募との違いを強く印象づけることが新エンブレム公募において当初からのミッションだった。そのため、新エンブレム公募は「透明性とオープン」がキーワードとなって展開された。
エンブレムを検討する「エンブレム委員」には、業界を超えた各界の著名人19名(後に2名追加され21名)が集められている。目玉委員に“世界の王”こと福岡ソフトバンクホークス会長・王貞治氏や元女子プロテニス選手の杉山愛氏が起用されるなど、国民の支持を得ることを最大の目標として進められたといってよい。
応募条件の引き下げと話題の加熱も相まって、新エンブレム公募の応募総数は1万4599件という規模に。前回の104件とくらべると、実に140倍である。その点では、新エンブレム公募は成功したといえるだろう。
前回の佐野氏デザインがトレース疑惑などの中で炎上し、白紙撤回へと至った経緯については、拙著『だからデザイナーは炎上する』(中公新書ラクレ)で言及した。今回の新公募についても、その経緯や見え隠れする課題について、できる限り調査して記載したが、その結果として分かったのは、やはり新エンブレム公募過程についても、炎上したり、騒動化する要因が無数に残存しているという事実である。
そこで本稿で、あらためて今回の新公募過程を整理してみたい。特に、選考の陰で見え隠れする不穏な炎上要素について、ここであらためて指摘しておこうと思う。
結局“ギョーカイ”に依拠してしまった新選考
そもそも誤解しがちだが、新しいエンブレムの審査は、王氏ら19名の任命されたエンブレム委員会だけで行ったわけではない。委員会以外に、オリンピック組織委員会の事務局員、そしてエンブレムをデザイン面から実質的に審査する「審査員」という20名のメンバーがかかわっている。
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