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米大統領の広島訪問は? サミット、最後の機会に

2016/4/11 18:00 (2016/4/13 14:23更新)
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原爆慰霊碑に献花する各国の外相ら(11日午前、広島市中区)=代表撮影

原爆慰霊碑に献花する各国の外相ら(11日午前、広島市中区)=代表撮影

 10~11日に広島市で主要7カ国(G7)外相会合が開かれ、11日には米国のケリー国務長官ら各国外相が平和記念公園を訪れて原爆慰霊碑に献花した。注目は5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に来日するオバマ米大統領の広島訪問。核軍縮の推進に向けて期待が高まる一方、同国内での反発に加えて安全保障への影響も指摘されており、実現は予断を許さない。

広島市で開かれたG7外相会合に合わせ、G7外相が11日午前、広島市の平和記念公園を訪問した。原爆被害の惨状を伝える平和記念資料館(原爆資料館)の視察に続き、原爆慰霊碑に献花、原爆ドームも訪れた。

第2次世界大戦で原爆を投下した米国の現職閣僚による同公園の訪問は初めて。ケリー米国務長官は「広島訪問は特別な意味を持つ」と表明した。

G7外相、原爆慰霊碑に献花 岸田氏「歴史的一歩に」(4月11日)

■「核なき世界」象徴する都市

アーネスト米大統領報道官は12日の記者会見で、5月のG7首脳会議に合わせ、オバマ大統領の広島訪問を前向きに検討していることを明らかにした。

オバマ氏が掲げる「核なき世界」に関し「最初に核兵器の犠牲となった広島ほど強く象徴する都市はない」と強調した。

オバマ氏の広島訪問、前向きに検討 米大統領報道官(4月13日)

1日、ワシントンでの核安全保障サミットで記念撮影するオバマ米大統領(中)ら=ロイター

1日、ワシントンでの核安全保障サミットで記念撮影するオバマ米大統領(中)ら=ロイター

オバマ氏の被爆地の訪問が浮上したのは、2009年4月にチェコの首都プラハの演説で「核なき世界」に向けた核廃絶構想を提唱。その年にノーベル平和賞の受賞が決定し、訪日した際に「在任中に訪問できれば光栄だ」と明言してからだ。

オバマ氏の残り任期は来年1月まで。伊勢志摩サミットを利用して広島を訪れないと現職大統領としての訪問は日程的に厳しい。

米大統領の広島訪問 4月中旬以降、最終判断へ(3月25日)

平和記念式典に参列する、米国のガテマラー国務次官(右)とケネディ駐日大使(2015年8月6日、広島市の平和記念公園)=共同

平和記念式典に参列する、米国のガテマラー国務次官(右)とケネディ駐日大使(2015年8月6日、広島市の平和記念公園)=共同

米政府高官ではオバマ政権下で最初の駐日大使を務めたルース氏が広島を訪問した。後任で現職のケネディ大使や、ガテマラー国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)は広島、長崎の式典に出席している。

米大統領、5月サミット後の広島訪問を検討(4月11日)

「大統領として日本を訪問する最後の機会だ。日米関係がさらによくなる努力をしたい」。オバマ氏は3月31日の安倍晋三首相との会談で、伊勢志摩サミット出席に絡めた広島訪問への意欲とも受け取れる発言をした。

米大統領の広島入り焦点 5月サミットに向け政府調整(4月3日)

■核軍縮の流れは後退

50カ国以上の首脳らが参加し米国で開いた核安全保障サミットは4月1日、核テロ防止を「永続的な優先課題」と位置付けた声明を採択して閉幕した。オバマ米大統領の提案で始まったサミットは今回が最後となる。

皮肉なことに国際社会の核軍縮の機運はむしろ薄れ、ロシアや中国、北朝鮮が開発を加速する。オバマ氏がめざす「核兵器なき世界」の視界はかすんでいる。

ロシア大統領に返り咲いたプーチン氏は14年にウクライナのクリミア半島を編入。これを機に米ロは対立し、核軍縮の機運は急速にしぼんだ。ロシアは今回のサミットを欠席した。

中国は「最低限の核抑止力」という考え方から脱し、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を原子力潜水艦に積んで巡回する段階に入ろうとしている。

かすむ「核なき世界」 オバマ氏最後の核サミット閉幕(4月3日)

 1日、ワシントンで開かれた核安全保障サミットの全体会合(AP=共同)

 1日、ワシントンで開かれた核安全保障サミットの全体会合(AP=共同)

 米大統領選で共和党の有力候補であるドナルド・トランプ氏からは日韓の核武装容認論まで飛び出した。

米大統領選の共和党候補指名争いで首位を走る不動産王ドナルド・トランプ氏は大統領に就任した場合、日本の核兵器保有を容認する考えを示した。日本が在日米軍の駐留経費負担を増額しなければ撤退させる方針も明らかにした。

トランプ氏は「米国は世界の警察官はできない。米国が国力衰退の道を進めば、日韓の核兵器の保有はあり得る」と述べ、北朝鮮や中国への抑止力として日韓の核保有を認めた。

トランプ氏「日本の核保有を容認」 米紙に語る(3月28日)

日韓両国の核武装に言及したトランプ氏(ロイター)

日韓両国の核武装に言及したトランプ氏(ロイター)

広島行きを決められない理由の一つは米国内の原爆投下正当化論だ。オバマ氏が訪れた場合、献花だけにとどめる案が有力だが、訪問自体に退役軍人らの反発が出る恐れがある。

オバマ氏は、トランプ氏が広島訪問を巡る退役軍人の不満を集票につなげる展開を警戒している。

米大統領の広島訪問 4月中旬以降、最終判断へ(3月25日)

米世論調査では原爆投下について「戦争終結を早め、多くの米国の将兵の命を救った」と正当化する回答がなお60%近くに上っている。

米大統領、5月サミット後の広島訪問を検討(4月11日)

■「抑止力の信用性に影響も」

 知日派のケント・カルダー米ジョンズ・ホプキンス大ライシャワーセンター東アジア研究所長はオバマ氏が広島を訪問する可能性は50%とする。

ケント・カルダー氏

ケント・カルダー氏

「オバマ氏が広島を訪れるかどうかはまだ決めていないと考える。現時点では行く可能性50%、行かない可能性も50%だろう。訪問した場合の米国内外の反応を分析している最中だと思う」

「オバマ氏の広島訪問は、個人的な関心からであり、世界から核兵器を減らしたいという象徴的な意味合いがある」

「中国や北朝鮮が(核開発に)積極的な中、広島訪問が示す米国の平和的な態度が抑止力の信用性に疑問をもたらす可能性はある」

「私は多くの米国人は、原爆を投下したことが適切だったとは考えていないと思う。長年の経過で、ますます多くの米国民が(原爆投下を)間違いと考えるようになっている。少なくとも過剰反応だったと思っている」

オバマ氏の広島訪問「実現なら抑止力に影響」カルダー氏に聞く(4月9日)

G7外相会合の開幕を前に、原爆ドーム周辺を警備する警察官(9日)

G7外相会合の開幕を前に、原爆ドーム周辺を警備する警察官(9日)

仮に広島入りとなれば警備などの準備にも一定の時間がかかる見込みで、米政府高官は4月中旬以降に最終判断するとの見通しを示した。

現職の米大統領として初めて被爆地入りするかどうかの判断に世界的な関心が集まっている。

米大統領の広島訪問 4月中旬以降、最終判断へ(3月25日)

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